コラム

ボイスの時代がそこまできた。モバイルファーストを思い出せ

2016年11月25日(金)16時00分
ボイスの時代がそこまできた。モバイルファーストを思い出せ

adekvat-iStock.

<モバイル向けコミュニケーションサービスのLINEは、早くからPC重視を捨て「モバイルファースト」に徹して成功した。次の勝者はモバイルを捨て「ボイスファースト」に徹した者かもしれない>

 AIの進化で音声認識の精度が急速に向上している。機械が人間の音声をほぼ正確に認識できるようになれば、社会は一変すると言われている。テック業界は、PCからスマートフォンに時代が移行したころの「モバイルファースト」の教訓を思い出し、「ボイスファースト」の事業構想を練るべきときがきた。

【参考記事】次のAIフロンティアは自然言語処理?

AIの音声認識が間もなく人間を超える

 音声認識の領域で、ディープラーニングと呼ばれるAIの注目技術を使って実績を上げているのが、米Microsoftの研究所。音声認識の精度は、人間の音声をどれだけ正確に書き起こせるかのテストで計る。英語の場合は同じ発音でもスペルが異なる単語が存在するので、人間でも単語数で数%の間違いが生じるのだとか。

 そのテストでMicrosoftのAIは今年9月にエラー率6.3%を記録。そのときも業界内で衝撃が走ったが、そのわずか1カ月の10月には、エラー率が5.9%にまで低下した。5.9%はプロの速記者と同程度だという。Microsoftの研究者は「5年前に、われわれの技術が5年間でここまで伸びるとは想像できなかった」と語っている。研究者でさえ驚くようなスピードで技術が進化しているわけだ。

【参考記事】女子高生AI「りんな」が世界を変えると思う理由

 米スタンフォード大学のAI研究所の元所長で、現在中国バイドゥ(百度)のチーフサイエンティストであるAndrew Ng(アンドリュー・ン)氏は、音声認識の精度が向上すれば社会は一変すると指摘する。「音声認識率が95%から99%に向上すれば、すべての人が音声コマンドを常時使うようになるだろう。この95%から99%までの進化が大事。多くの人はこのことを過小評価し過ぎ。99%に達した時点で、すべてが変わる」という。

 同氏によると、2020年までに検索の少なくとも50%は、画像検索か音声検索になると予測している。文字で検索することのほうが少なくなる時代が、もうすぐそこまで来ているというわけだ。

モバイルファーストが業界勢力図を塗り替えた

 そうした時代に向けてビジネスはどう変化すべきなのだろうか。

 実は、われわれは同様のビジネス界のパラダイムシフトを数年前に体験している。

【参考記事】人工知能が加速させるボイス革命

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。

ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-中国アリババ傘下のアント、上海

ワールド

韓国サムスン電子の李健煕会長が死去、最大財閥で存在

ワールド

アントの上場、過去最大規模になる見込み=ジャック・

ワールド

アジアのコロナ感染者が1000万人突破、インドで感

MAGAZINE

特集:日本人が知らないワクチン戦争

2020-10・27号(10/20発売)

全世界が先を争う新型コロナのワクチン確保 ── その最前線と日本の開発が遅れた本当の理由

人気ランキング

  • 1

    世界が騒いだ中国・三峡ダムが「決壊し得ない」理由

  • 2

    決壊のほかにある、中国・三峡ダムの知られざる危険性

  • 3

    中国・青島市で冷凍食品から新型コロナウイルスが検出された

  • 4

    中国はトランプ再選を願っている

  • 5

    金正恩「女子大生クラブ」メンバー50人が強制労働送…

  • 6

    オーストラリアで太陽光発電し、シンガポールに送電…

  • 7

    イタリア政府、ファーウェイと国内通信企業との5G…

  • 8

    対中デフォルト危機のアフリカ諸国は中国の属国にな…

  • 9

    中国政府のウイグル人弾圧をめぐって、国連で再び各…

  • 10

    全米で大統領選控え記録的な銃購入ラッシュ 初心者…

  • 1

    スリランカが日本支援のライトレール計画を中止したのは......

  • 2

    世界が騒いだ中国・三峡ダムが「決壊し得ない」理由

  • 3

    中国のネットから消された「千人計画」と日本学術会議研究者たち

  • 4

    決壊のほかにある、中国・三峡ダムの知られざる危険性

  • 5

    中国・青島市で冷凍食品から新型コロナウイルスが検…

  • 6

    インドネシア大統領ジョコ、米国の哨戒機給油要請を…

  • 7

    トランプ「土壇場の大逆転」2度目は空振り? 前回と…

  • 8

    菅首相、訪問先のインドネシアで500億円の円借款供与…

  • 9

    グアムを「州に格上げ」して中国に対抗せよ

  • 10

    新型コロナ、スウェーデンは高齢者を犠牲にしたのか

  • 1

    スリランカが日本支援のライトレール計画を中止したのは......

  • 2

    韓国ネット民、旭日旗めぐりなぜかフィリピンと対立し大炎上に

  • 3

    日本学術会議は最後に大きな仕事をした

  • 4

    金正恩「女子大生クラブ」主要メンバー6人を公開処刑

  • 5

    世界が騒いだ中国・三峡ダムが「決壊し得ない」理由

  • 6

    習近平、中国海兵隊に号令「戦争に備えよ」

  • 7

    その数333基、世界一のダム輸出国・中国の「無責任」

  • 8

    注意喚起、 猛毒を持つふさふさの毛虫が米バージニア…

  • 9

    中国のネットから消された「千人計画」と日本学術会…

  • 10

    中国軍の侵攻で台湾軍は崩壊する──見せ掛けの強硬姿…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!