アメリカ人が日本で、ちょっと「政治的な」近所付き合い
筆者の親戚には実にかなりの数の共和党支持者がおり、彼らとはざっくばらんに深い話はできない。数年前、共和党の牙城であるアラバマ州に住む祖母に、夕ご飯の席で「いい人がいれば民主党でも入れる?」と聞いてみたときの祖母の表情と無言の回答は忘れられない。「その話はよしなさい」。200年たっても共和党を離れる日は来ないことが伝わってきた。
運よく日本には、とてつもなく困った政治家はまだ登場していない。でも、イタリアのベルルスコーニ、ハンガリーのオルバン、そしてアメリカのトランプの次は、そのうちここ日本で現れるかもしれない。そうなったら日本国民は果たしてその人物をしっかり見つめ、合理的な決断をするだろうか。それとも「世間に理解されようがされまいが、墓穴を掘るのも、自分の首を自分で絞めるのも自分の勝手だ」と、世界を驚かせるとんでもない選択をするのか。
身内との会話で、困ったポピュリズムの話題に触れられなくなっている在日アメリカ人は多いと聞く。幸い日本なら、それができる。僕のようにすぐ近所に思慮に富んだいい相手がいるなら、という話だが。
トニー・ラズロ
TONY LÁSZLÓ
1960年、米ニュージャージー州生まれ。1985年から日本を拠点にジャーナリスト、講師として活動。コミックエッセー『ダーリンは外国人』(小栗左多里&トニー・ラズロ)の主人公。
<2020年11月24日号掲載>

アマゾンに飛びます
1月19日号(1月13日発売)は「トランプは終わらない」特集。世界が驚き、あきれた連邦議会占拠事件。「異形の大統領」はこのまま影響力を失うのか。
この筆者のコラム
外国人は何年いてもしょせん「ガイジン」 日本が中国の製造業から学べること 2021.01.11
「そこの外国人!」と注意されて... 日本の道は自転車には危な過ぎる 2020.12.30
意外な共通点「非モテ」で結び付く日韓男子のこれから 2020.12.23
技能実習生を「偽難民」にしてしまう日本の歪み 2020.12.16
原発事故の後も日本が原発ゼロを目指さなかったのはなぜか? 2020.12.10
奇跡の戦後経済を食いつぶしてきた日本よ、今こそ「第2の開国」を 2020.12.09
アメリカ人が日本で、ちょっと「政治的な」近所付き合い 2020.11.18