コラム

世界に誇るべき日本の「ウナギのかば焼き」

2020年09月04日(金)11時30分
周 来友(しゅう・らいゆう)

MIXA/GETTY IMAGES

<前回、日本は世界に誇るべき「社会主義国」だと書いたら、大きな反響があった。もうひとつ、日本から世界に「輸出」してもらいたいものがある>

前回このコラムで、日本は世界に誇るべき「社会主義国」だと書いたところ、大きな反響があった。私はネットでたたかれることが多いのだが、この時ばかりはヤフーで「日本の良いところを発信してくれてありがとう」と書かれ、ツイッターでも好意的なコメントを多数もらった。うれしいというよりは、ほっとしたところだが、この場を借りてお礼を申し上げたい。

いつも大声で中国を褒めたたえ、弁護していた周が......といったコメントもあった。どうやら私に「反日」イメージを抱いている人もいるらしい。確かにこれまで、バラエティー系の討論番組に出演しては口角泡を飛ばしてきた。とはいえ、テレビで日本の悪口を言ったことはない。ただ「あなたたちのここが悪い」と助言しただけだ。私としては愛のむちだと思っている。

良いところは良い、悪いところは悪いと言う。これまで日本人にこびを売ろうと思ったことはないし、これからもそうだ。ただ、私も30年以上東京で暮らし、なじもうと努力もしてきた。日本の良いところはたくさん知っているし、感銘も受けてきた。

そんなわけで今回は、日本の魅力の1つである食べ物の話をしたい。といっても難しいことを書く気はない。取り上げるのは私の好きな日本料理。写真を見れば一目瞭然。ウナギのかば焼きである。

一般に中国人は生の魚が苦手と言われる。私も最初はそうだった。来日前、日本人留学生の友人に連れられ、北京の日本料理店で初めて和食を口にしたが、もちろん刺し身は食べられなかった。来日後もしばらくは、旅館などで刺し身を出されると、鍋に入れてしゃぶしゃぶにしていたくらいだ。

それが今では寿司や刺し身も大好物。和食は素材を生かした体に良い料理が多いし、見た目も素晴らしい。中国料理は立て続けに食べると飽きてしまうが、和食は決して飽きないとさえ思っている。

そんな日本料理の中でも、私の一番のお気に入りがウナギのかば焼きなのだ。

私が生まれ育ったのは「東洋のベニス」とも呼ばれる川の多い風光明媚な街、浙江省紹興市。この地元で、子供の頃はよく大人に「ウナギ漁」に連れて行ってもらった。毛竹と呼ばれる日本の竹よりも太い竹の中をくり抜き、川の底に沈めておくのである。それを翌朝取り出すと、竹の中にエビやカニと共に肥えた天然のウナギが入っている、という具合だ。捕まえた後は内臓を取り出し、ぶつ切りにしてショウガやネギ、ニンニクなどと一緒に蒸して食べる。ウナギは中国でもごちそうで、味も悪くないのだが、ひとつ難点がある。骨が硬いのだ。少年時代はウナギと言えば、そんな印象だった。

【関連記事】日本は世界に誇るべき「社会主義国」です
【関連記事】10万匹つめたスーツケースはロンドンから中国そして日本へ 広がるウナギの違法密売取引

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=ス

ワールド

中国、米安保戦略に反発 台湾問題「レッドライン」と

ビジネス

インドネシア、輸出代金の外貨保有規則を改定へ

ワールド

野村、今週の米利下げ予想 依然微妙
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story