コロナ禍の世界が熱望する「日本製」 揺るがぬ信頼を日本は自覚せよ
これは、とどのつまりは、世界中の消費者がより安価な商品を望み、世界中の企業がより多くの利潤を上げられる製造場所と製造方法を選び、企業の株主がより高い利益を企業に求めた結果である。新型コロナウイルスの感染が始まるまでは、国境線ってまだ意味あるの? 国の役割ってナニ? と思うくらい、グローバル化が進んでいた。安く製造できるのならばどの国でも構わない、利益を上げるのが正義である──という具合に。
資本主義とグローバル化が極まったタイミングで新型コロナウイルスの感染拡大が起き、状況が一変して世界は逆回転を始めた。各国は国境を封鎖し、必需品を国内で囲い込む。医療器具、医薬品はなおさらだ。聞くところによると、この新型コロナウイルスは広く一般にワクチンが行き渡るまで、数回感染が広がることが予測されているという。となると、今後少なくとも数年の間は、多少高価でも信頼できる製品が世界中で必要とされるだろう。
日本人の想像を超えて、世界ではまだまだ日本製品と日本人への信頼が高い。インバウンド消費もしばらく期待できないなか、国内の製造業の力をいま一度見直して、再び世界の市場を制覇するくらいになってほしい。まだ間に合うはずだ。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン生まれ。2002年に留学のため来日。日本人女性と結婚し、2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。@IshinoShahran
<本誌2020年6月2日号掲載>
2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル
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