コラム

誰もが持っている不思議なコミュニケーション能力/trigger(引き起こす)

2018年09月27日(木)17時30分

www.ted.comより

【今週のTED Talk動画】
You are fluent in this language (and don't even know it)
https://www.ted.com/talks/christoph_niemann_you_are_fluent...

登壇者:クリストフ・ニーマン

このTEDトークでは、イラストレーターであるクリストフ・ニーマン氏が彼自身が何かを想像するときのプロセスを説明しており、また、私たちがあるビジュアルを見るときに起こる頭の中での解釈についても詳しく述べている。

ビジュアルに訴えるイメージは情報を効果的に伝えられるし、見る人の心の中に潜む感情を引き出す力も持っている。少ない情報(要するに、少ない言葉でしか説明されていないイメージ)から、人間は行間を読み、頭の中で完全なアイデアを構築できる。

身の回りにあるさまざまなスケッチや描画について、私たちはあまり深く考えることがないかもしれないが、このTEDトークはそれを作った人の努力を認識するきっかけにもなる。私たちの脳がいかによく出来ているかを、そして私たちが持つコミュニケーション能力を自覚するのにも役立つTEDトークだと言える。

キーフレーズ解説

trigger
引き起こす
(動画5:05より)

名詞の場合、triggerは拳銃の引き金――すなわち、何か動くものを実際に発動させるもの――を意味します。動詞で使われる際は「引き起こす」という意味を持ち、トラウマなどを呼び起こすという意味としても使われています。

このTEDトークで、この言葉は2回登場します。最初は、頭の中にイメージをtriggerするためにどれほどの情報が必要なのかとニーマン氏が質問したとき。2回目はニーマン氏が自分の描画練習法を説明しているときで、彼は家で見つけたランダムなものが本来の用途と関係ないアイデアをtriggerできるかを試していると述べています。

ここでいくつかこの表現を用いた例を紹介します:

●His comments triggered a backlash.
(彼のコメントは反発を引き起こした)

●Trump's steel and aluminum tariffs triggered a chain reaction around the globe, as many other governments erected their own barriers to prevent cheap metal from entering their markets.
(トランプの鉄鋼とアルミニウムに対する関税は連鎖反応を引き起こし、多くの外国政府は自国の市場に安い金属が入らないよう障壁を張り巡らせた)

●Because she is a survivor of sexual assault, the rape scene in the movie triggered her.
(彼女は性的暴力の被害者なので、その映画の中のレイプのシーンは彼女のトラウマを呼び起こした)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

欧州金融業界向け重要通信技術提供者、EUがAWSな

ワールド

中国首相、ロシア大統領とモスクワで18日に会談=新

ビジネス

米政府系住宅金融2社の株式売却、短期的に不可能=ア

ワールド

MI5、中国スパイがヘッドハンター装い英議員に接触
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story