李在明外交に潜む「同盟派」vs「自主派」の路線対立とは?

カナダで開かれたG7サミットに出席した李在明(右) ADRIAN WYLDーTHE CANADIAN PRESSーZUMA PRESSーREUTERS
<6月中旬のカナダG7サミットで無難な外交デビューを果たした李在明。しかし、一枚岩に見える進歩派政権の外交には、見えないフォルトライン(断層線)が走っている>
韓国新大統領の李在明(イ・ジェミョン)は6月16日~17日にカナダで行われたG7サミットに招待国代表の1人として参加し、外交デビューを果たした。中東情勢の激変によりトランプ米大統領が急きょ帰国し、念願の米韓首脳会談こそ果たせなかったものの、日本の石破首相をはじめとする各国要人との会談を順調にこなし、記念撮影などの場でも各国首脳と談笑するなど、まずは順調なデビューとなった。
他方、李はこの直後にオランダにて予定されていたNATO拡大首脳会合には欠席を表明した。この直後には石破首相やオーストラリアのアルバーニージー首相も欠席を明らかにしたため、NATOが「インド・太平洋地域パートナー国」として位置付ける4カ国の中で、首脳が会合に参加したのはニュージーランドだけになった。
こうしてみると、李在明外交は今のところ大きな破綻なく始まったようにみえる。しかしそれは、外交に課題が存在しないことを意味しない。なぜならこの政権は外交路線において方向性を異にする2種類の人々を内部に抱え込んでいるからだ。
1つのグループはアメリカとの関係を重視する「同盟派」であり、その中心は魏聖洛(ウィ・ソンラク)安全保障室長である。進歩派政権の内部にありながら、外交の基軸はあくまでアメリカとの同盟関係に置かれるべきだと考える彼らは、その延長線上で「同盟国の同盟国」である日本との関係も重視する。
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