コラム

ユン韓国大統領がついに罷免、勝利したのは誰なのか?

2025年04月04日(金)21時34分
韓国

ついに弾劾裁判で罷免された尹錫悦 SeongJoon Cho/Pool/Sipa USA

<弾劾裁判で尹錫悦大統領の罷免が決まった。「光の革命」による「国民の勝利」だと野党の李在明は凱歌を挙げたが>

「光の革命を起こした国民の勝利だ」

4月4日、韓国の憲法裁判所が尹錫悦(ユン・ソニョル)の大統領罷免を決定した直後、最大野党「共に民主党」代表であり、次期大統領選挙の最有力候補である李在明(イ・ジェミョン)はこう述べた。やはり、共に民主党から国会議長に選出されている禹元植(ウ・ウォンシク)も、憲法裁判所の決定を「憲法と民主主義の勝利だ」と歓迎した。韓国の進歩派からは同様の発言が相次ぎ、大統領弾劾を国民の意志が体現された結果だ、と位置付けた。

とはいえ、この様な韓国進歩派の言説には強い違和感を覚える。なぜなら、憲法裁判所はあくまで憲法の規定に従って動くべき存在であり、その決定が国民の意志により変わるべきものであってはならないからである。仮に李らが言うように、今回の決定が国民の意志を反映したもの、また反映されなければならないものであったなら、逆に多くの国民が尹を支持していれば、戒厳令宣布に始まる一連の事態も合法だったということになりかねない。

そして実際、今回の憲法裁判所の決定はそのような観点で見られるべきではない。この決定には、2つの注目すべき重要な点があった。

第1はもちろん、尹の罷免が認められるか否か。しかし、この点においては戒厳令宣布にまつわる尹の行動には、それが内乱罪に当たるか否かを離れて、重大な違法性があることが明らかで、国会側の手続きをめぐる瑕疵さえ問題にならなければ、弾劾自体が棄却される可能性は最初から大きくなかった。

プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

スポティファイ、月額料金1ドル値上げ 米国など3市

ビジネス

トヨタ不と豊田織、真摯な対話継続=TOB価格にエリ

ワールド

中国、出生率引き上げ策を強化 今年の財政負担180

ワールド

豪で470万のSNSアカウント停止、16歳未満の禁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑について野次られ「中指を立てる」!
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    イランの体制転換は秒読み? イラン国民が「打倒ハ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    年始早々軍事介入を行ったトランプ...強硬な外交で支…
  • 8
    母親「やり直しが必要かも」...「予想外の姿」で生ま…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 9
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story