コラム

「欧州のリーダー」として再浮上? イギリスが存在感を取り戻す理由

2025年05月05日(月)10時51分
イギリスが「欧州のリーダー」としていま再浮上する不思議

SODIQ ADELAKUNーREUTERS

<ブレグジットを決めた国民投票からほぼ9年。ロンドンで欧州の首脳会合を主催して安全保障問題を話し合い、ウクライナ支援で指導力を発揮。米トランプ政権を「懐柔」する役割も?>

キア・スターマー英首相は、国際問題で大きなジレンマを抱えている。ウクライナ情勢、米トランプ政権が欧州に対して示す明らかな「敵意」、そして拡大する貿易戦争といった課題は、彼が他の欧州諸国と緊密に協力する必要があることを意味している。

一方でスターマーは、EU再加盟を明確に否定している。ブレグジット(イギリスのEU離脱)を決めた国民投票からほぼ9年となる今も、フランスやドイツをはじめとして欧州大陸の大半の国との実務関係は損なわれたままだ。


スターマーはこの難局を打破しようとしている。いいニュースとしては、欧州諸国も同じ理由からイギリスとの友好関係に向かっていること。そして、労働党の首相のスターマーには、前任者たちのような「汚点」がないことだ。

EU離脱に関する国民投票の場を提供したのはデービッド・キャメロン。離脱プロセスを開始するリスボン条約第50条を発動したのはテリーザ・メイ。2020年に最終的にイギリスを離脱させたのはボリス・ジョンソン。いずれも保守党の首相だ。

昨年の総選挙で、イギリスは14年ぶりに労働党の首相を選び、国際関係をリセットする機会を得た。これは断絶を意味しない。実際、イギリスの外交政策は指導者の交代や今回の政党の交代を経ても、驚くほど一貫している。

ウクライナ支援は22年のロシアによる全面侵攻以降だけでなく、14年のクリミア危機から強固だった。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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