コラム

チャリティーへの寄付品すら盗む人々...荒れたイギリスが悲しい

2025年04月29日(火)15時40分
ロンドンのチャリティーショップ

ロンドンのチャリティーショップ前 HANNAH MCKAY―REUTERS

<イギリスによくあるチャリティーショップの前に置かれた寄付の品々がよく「襲撃」される残念な理由>

これは悲しい話だけれど、僕はどう受け止めればいいのか完全には分からないでいる。

先日、夜の街の大通りで、たくさんの「ごみ」が散らばっているのに出くわした。


よく見ると、それはかつてはきれいに袋に入れられてチャリティーショップ(慈善団体などが運営するリサイクル品などを扱う店)の前に置かれていたらしき洋服一式だった。店が閉まっているときに、この方法で寄付品を置いていく人もいるのだ。ほとんどのチャリティーショップでは、ドアにこの「店の前に置いておく」方法はやめてください、と張り紙が出ている。

まさにやめてほしい理由の1つがこれ。時に荷物が狙われるからだ。たまたま破壊行為にあっただけだったのかもしれないし、酔っぱらいが怒りに任せて憂さ晴らしをしたのかもしれない。

だが、窃盗だった可能性もある。誰かが袋を破り、欲しい物か売れそうな物がないか中を確認したのかもしれない。チャリティーの物を盗む人がいるなんて考えると気がめいるが、実際にそういう人はいる。

実は、僕が以前寄付した時にも同じようなことがあった。いくつかの寄付品を袋にまとめて、(夕方で既にチャリティーショップは閉まっていたので)2つの慈善団体に寄付を「投函」できる家の近くの大きなボックスに持って行った。僕は寄付品を2団体に均等に分けようと決めていた。

でもどういうわけか、1団体のほうの「投函ボックス」がしっかり開かなかった。開けようとしても途中で止まってしまう。だから僕は深く考えず、袋をボックスの前に置いて行った。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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