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中国人女子学生のハーバード大卒業式演説が、左右から怒られた理由

©2025 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN
<中国の民主派とネット愛国者が、ハーバード大学の中国人女子留学生である蒋雨融のスピーチにブチ切れた。いつもは「水」と「火」のように対立してばかりの彼らが、ここで足並みを揃えた理由は?>
「反賊(ファンゼイ)」とは、中国共産党の独裁統治に反対する民主派や反体制派のSNS上での自称。一方、「小粉紅(シアオフェンホン)」は愛国主義者で、反賊とは逆の存在である。最近、この「水」と「火」のように相いれない2つの集団がどちらも、ハーバード大学の中国人女子留学生である蒋雨融(チアン・ユィロン)のスピーチにブチ切れている。
蒋は青島出身。今年の卒業式で、学生代表として「われわれの共通の人間性」と題してスピーチ。「敵も人間」と強調し、共通する人間性や人類運命共同体の理念を訴えた。
彼女の主張は正しい。数十年前なら絶賛されただろう。しかし、今は社会状況やネットの空気がガラッと変わって、この手の主張は受け入れられにくくなっている。
特に「反賊」側は、天安門事件や人権弾圧で深い傷を受けている。「敵も人間」とすれば、天安門事件で銃殺された若い学生、言論を理由に逮捕されたり、死に追いやられたりした人権弁護士や市民、「鉄鏈女(首に鎖を付けられた女性)」のように商品として売買された人々への裏切りではないか。また彼女が通ったハーバード大学ケネディスクールは、中国政府の多くの高官やその子供が卒業生だ。中国共産党の「海外党校」の卒業生の主張など、嘘に嘘を重ねた嘘ばかり......というわけだ。
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