コラム

なぜロシア人はウクライナ戦争の真実を見ようとしないのか

2022年04月07日(木)11時30分

ロシア人は、このアイデンティティーを覆す情報をわざわざ探し出す必要性を感じていない。人間は、自分が理想と考えるアイデンティティーに沿った情報を見聞きしたいものだ。その結果、今回の戦争でも「わが国はウクライナ人を抑圧から解放しようとしているのだ!」と信じている。

しかし、政府に都合の悪い情報を徹底的に抑え込もうとすれば情報統制に亀裂が生じる。プーチン政権の「特別軍事作戦」が順調に進んでいるのであれば、どうしてあらゆる情報が規制されるのかと、ロシアの人々は疑問を持つようになるだろう。

既に25 歳未満の国民の過半数は軍事作戦に反対している。この層は、政府が発する情報以外の情報に最もアクセスしている人たちだ。情報統制に亀裂が生まれれば、いずれはそこから水が噴き出す。

人々にとって真実を見ることは愉快でないかもしれないが、いやでも目に入るときはあるのだ。

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サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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