コラム

トランプVSマスク「世紀の大喧嘩」がマスク降伏で決着するまでの内幕

2025年06月21日(土)18時30分
トランプ,マスク

新聞は2人の対立を面白おかしく書き立てたが…(6月6日の紙面) CARLOS BARRIAーREUTERS

<あれほどの蜜月っぷりから絶縁並みに衝突した原因は、マスクが「オレの時代」だと勘違いして出しゃばったせい? 結果はトランプの圧勝で...>

イーロン・マスクの資産は約3500億ドル。おそらく世界初の資産1兆ドルを達成する可能性が高い人物だ。しかし、今はトランプ時代。マスクは交通輸送と宇宙旅行に革命をもたらしたが、カジノ経営に失敗した男によって打ちのめされた。

マスクは自身が所有するX(旧ツイッター)でトランプ米大統領肝煎りの税制・歳出法案を「忌まわしい」と罵倒。大統領をアメリカで最も悪名高い小児性愛者と関連付けた。だが世界一の大富豪も、独裁志向のアメリカ大統領には太刀打ちできないことが明らかになった。マスクは大統領に謝罪し、膝を屈して降伏した。


トランプは「わが国の予算、何十億、何百億ドルのカネを節約する最も簡単な方法は、イーロン(の会社)への補助金と契約を打ち切ることだ」とうそぶいた。この大統領は国家を自分の気まぐれや願望と一体化した事実上の個人口座のように考えている。

ばかげた主張だが、争いはトランプの圧勝だった。共和党員を対象にした調査では74%がトランプを支持、マスク支持はわずか6%だった。バンス副大統領とワイルズ大統領首席補佐官がマスクに電話でトランプへの謝罪を求めた時点で勝負はついた。

対立のきっかけの1つは、トランプ政権がマスクの友人ジャレド・アイザックマンのNASA長官指名を撤回したことだろう。撤回理由は、2024年大統領選でトランプを強く支持したアイザックマンに民主党議員への寄付歴があったためらしい。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米民主上院トップ、気象局の調査要請 人員減が洪水対

ワールド

ルビオ米国務長官、初のアジア訪問へ トランプ氏関税

ビジネス

韓国、米と交渉加速へ トランプ氏が「8月1日から2

ワールド

日韓に25%関税、トランプ氏が貿易相手国に書簡 交
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 5
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 6
    米テキサス州洪水「大規模災害宣言」...被害の陰に「…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 9
    新党「アメリカ党」結成を発表したマスクは、トラン…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story