コラム

アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩り」の最中に米名門大教授3人が国外に移籍

2025年04月03日(木)15時00分
スナイダー

アメリカを去った「スーパースター研究者」のスナイダー教授 YEVHEN TITOV–ABACAPRESS.COM–REUTERS

<米名門エール大の著名な教授3人が「格下」のカナダ・トロント大に移籍するという衝撃...法律事務所からコメディアンまで「反トランプ」がタブーに>

トランプ米大統領の支配力は加速する一方だ。権力者や有名人が唯々諾々と膝を屈する光景が今日も続く。

学術界の不満分子に対するトランプの締め付けも、さらに強まっているようだ。先日も、学界に出席予定のフランス人研究者がトランプ批判を理由にアメリカの空港で入国を拒否されたというニュースが流れた(トランプ政権は報道を強く否定)。私が所属するジョージタウン大学でも、インド国籍の研究者がキャンパスからわずか15分の自宅で覆面姿の捜査官に拘束された。


攻撃の標的は外国人だけなのか。それとも反体制的なアメリカ人の学者も、過去の発言や著作を理由に取り締まりの対象になるのか。

1950年代に猛威を振るったマッカーシズムに関する新著『赤狩り(Red Scare)』の中で、著者のクレイ・ライゼンはこの反共産主義運動を蔓延させた政治的パラノイアがいかに前途有望な人材のキャリアを(しばしば誤って)破壊したかを描き、今日の「学者たたき」と比較をしている。さらに「今日のアメリカの強硬保守派を理解するには、『赤狩り』時代のルーツを理解する必要がある」と、ライゼンは主張する。

「反トランプ狩り」に言及するのは時期尚早だろうか。例えば日本の東京大学で講演したアメリカ人コラムニストが、トランプ外交を非難する動画のせいで帰国時に冷や汗をかく時代が到来する可能性はあるのか。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、7月は10.4万人増 予想上回る

ワールド

中国政治局会議、経済支援へ 無秩序な競争取り締まり

ビジネス

日産、4━9月期は営業赤字1800億円見込む 通期

ビジネス

伊GDP、第2四半期は前期比-0.1% 予想外のマ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 3
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 4
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 5
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 6
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    タイ・カンボジア国境紛争の根本原因...そもそもの発…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「出生率が高い国」はどこ?
  • 10
    グランドキャニオンを焼いた山火事...待望の大雨のあ…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 8
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつもの…
  • 9
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 10
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story