コラム

米政府閉鎖でトランプがノリノリで召喚した「死神」の正体

2025年10月09日(木)17時20分
トランプ

トランプはボート(奥の中央)に大鎌を振るわせる? KEN CEDENOーPOOLーCNPーINSTARIMAGESーREUTERS

<米政府閉鎖に乗じて連邦政府支出カットを試みるのは、大統領選中にトランプが関係を否定し続けた「プロジェクト2025」の主導者だった>

トランプ米大統領は行政管理予算局(OMB)のラッセル・ボート局長を死に神に見立てた生成AI動画を投稿。それと一緒に1976年のヒット曲「死神」のパロディーを流した。ボートは連邦政府支出に強硬に反対してきた人物であり、職業人生の大半を国家予算の縮小にささげてきた。

今回の政府機関閉鎖で、ボートの出番がついに訪れた。AI動画のボートは大鎌を振りかざし、職員の大量解雇を断行する。トランプの狙いは大統領権限のさらなる強化。ボートの目標は100年に1度レベルの政府の革命的再構築だ。


政府閉鎖の経済への影響を考える上で、最も重要なのはどれほど長く続くかだ。7年前の第1次トランプ政権における閉鎖期間は1カ月強だった。それ以来、連邦政府職員は閉鎖終了後に未払い分の給与を保証されるようになったが、75万人の職員が給与を受け取れない事態は、商業分野に甚大な影響を及ぼす可能性がある。

私は今週、議会関係の仕事で外国の国会議員向けに講演する予定だが、会計処理は閉鎖終了まで行われない。もし数百万人が同じ状況になるとしたら、全米規模で消費が停滞しかねない。

アメリカの雇用統計は閉鎖前から弱含みだった。9月の新規雇用件数は4万5000人増の予想だったが、実際は3万2000人減。減速傾向の経済に長期の政府閉鎖が加われば、致命的な打撃となりかねない。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ベライゾン、過去最大の1.5万人削減へ 新CEOの

ビジネス

FRB、慎重な対応必要 利下げ余地限定的=セントル

ビジネス

今年のドル安「懸念せず」、公正価値に整合=米クリー

ワールド

パキスタン、自爆事件にアフガン関与と非難 「タリバ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 5
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 10
    「ゴミみたいな感触...」タイタニック博物館で「ある…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story