コラム

少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルーの大スキャンダルを招いた「女王の寵愛」とは

2026年02月20日(金)18時10分
釈放されるアンドルー元王子

釈放されるアンドルー元王子 Phil Noble-REUTERS

<アンドルーは軍事ブリーフや機密報告を受領後数分でエプスタインに転送していたとの疑いがかけられている>

[ロンドン発]英テムズバレー警察は2月19日朝、王子の身分や全特権を剥奪されていたアンドルー・マウントバッテン・ウィンザー容疑者(66)=王位継承順位8位=を貿易特使時代の不正行為の疑いで逮捕した。アンドルー容疑者は同日夜、釈放されたが、捜査は継続している。

【写真】当時17歳のバージニア・ジュフリーさんの腰を抱くアンドルー王子


少女買春で起訴され自殺した米富豪ジェフリー・エプスタインに関する350万件の文書が公開されたのを受け、テムズバレー警察がアンドルー容疑者の旧邸宅ロイヤルロッジでエプスタインから女性をあてがわれた疑惑や貿易特使時代に情報を漏洩していた疑いで捜査していた。

エリザベス女王(故人)に溺愛されたアンドルー容疑者はフォークランド紛争に従軍した祖国の英雄で、問題を起こすたび女王のカーテンに守られてきた。当時17歳だったバージニア・ジュフリーさん(昨年4月に自死)から3回にわたり性交を強いられたと訴えられていた。

深刻な紛争地の軍事・経済情報に関連する文書の共有

エプスタイン文書で明るみに出たアンドルー容疑者の疑惑は腐敗臭で吐き気を催すほどだ。アンドルー容疑者が2001〜11年に英国の国際貿易・対内投資特別代表(貿易特使)を務めていた際、公職上の権限を悪用・不正利用していた疑いが次々と浮上した。

10年にアンドルー容疑者が貿易特使として東南アジアを歴訪した際、英国政府の機密情報をエプスタインに提供していたことがメール履歴から判明。ベトナム、シンガポール、香港、中国・深圳への公式訪問に関する報告書や機密ブリーフを受け取ったわずか数分後に転送していた。

特に深刻なのが紛争地の軍事・経済情報に関連する文書の共有だ。アフガニスタン・ヘルマンド州の復興チームが作成した国際投資機会に関する機密ブリーフをエプスタインに送信。国家安全保障に関わる公的な報告書を適切な機密保持権限を持たない民間人に渡していた。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングロ・アメリカン、昨年の赤字37億ドル デビア

ビジネス

英総合PMI、2月速報53.9に上昇 雇用は大幅減

ワールド

米、ベネズエラ産石油のインド売却に向け積極交渉=駐

ビジネス

再送(18日付配信記事)-米大手テック企業の債券発
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 3
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 6
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 7
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 8
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 9
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 10
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story