最新記事
日本社会

住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で全国の空き家率は急上昇する

2026年2月25日(水)11時30分
舞田敏彦 (教育社会学者)
地方の空き家

30年後には都市部を除く大半の地域で空き家率が20%を超える photoAC

<単身高齢者への賃貸の促進など「需要と供給」を結び付ける対策が必要だ>

日本が人口減少の局面に入って久しい。だが人は減ってもハコは残る。ハコとは住宅のことで、人が住まない空き家の増加が社会問題となっている。倒壊の危険が増す、朽ち果てて景観を悪化させる、さらには犯罪の温床となるなど、地域社会への悪影響は計り知れない。

2023年10月時点の全国の空き家数はおよそ900万戸で、全住宅に占める割合は13.8%となっている(総務省『住宅土地統計』)。この数値には地域差もあり、過疎や高齢化が進んだ地方ではより高い。筆者の郷里の鹿児島県だと20.5%だ。


「そんなものか」という印象にとどまるかもしれないが、未来予測をすると恐ろしい数字が出てくる。未来予測の単純な方法として、過去のトレンドを延ばす外挿法がある。鹿児島県の空き家数は、2003年から2008年にかけて1.221倍、2008年から2013年にかけて1.134倍、2013年から2018年にかけて1.134倍、2018年から2023年にかけて1.103倍に増えた。これら4つの倍率を平均すると1.148倍。過去20年間の空き家の増加速度とみなせる。

今後も5年ごとに空き家が1.148倍増えると仮定すると、2023年の鹿児島県の空き家数は18万4200戸となり、2028年の空き家数は21万1441戸、2033年は24万2710戸......というように導き出せる。

newsweekjp20260225014845.png

このやり方で空き家数と住宅総数の予測値を出し、前者を後者で割った空き家率を計算すると<表1>のようになる。これによると、2053年の鹿児島県の空き家数は約42万戸で、住宅総数に占める空き家の割合は40.0%となる。県内の住宅の4割が空き家になるということだ。

にわかに信じがたいが、実際にはもっと高くなるだろう。これから先、分母の住宅総数の増加速度は落ちる一方で、亡くなる高齢者の増加により分子の空き家数はより速い速度で増えると考えられるからだ。2050年頃の鹿児島県では、県内の住宅の半分近くが空き家になっているかもしれない。

資産運用
「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒れる今こそ投資家が目を向ける「世界通貨」とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アサヒ、ビール類で1桁台半ばの売上増計画 「スマド

ワールド

パキスタンで武装勢力が警察車両と検問所襲撃、9人死

ワールド

焦点:トランプ氏2期目の経済政策、現時点で結果まち

ワールド

トランプ大統領が一般教書演説、「米国は黄金時代」と
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中