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【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?

2025年12月13日(土)11時30分
岡田禎子(個人投資家、ファイナンシャル・プランナー)
資生堂の店舗

難航するブランド戦略と成長ドライバの失速。さまよえる資生堂の現在地と、この先の株価再評価への道筋は? Sorbis-shutterstock

<資生堂が過去最大の赤字見通しを発表。背景にあるのは、難航するブランド戦略と成長ドライバの失速。さまよえる資生堂の現在地と、この先の株価再評価への道筋を展望する>

11月、資生堂<4911>は今期の最終損益が520億円の赤字になると発表。60億円の黒字予想から一転、過去最大の赤字を計上する見通しとなったことで株式市場には強い衝撃が走り、株価は大きく下落しました。

その一方で、藤原憲太郎社長は「トンネルを抜けた」という前向きな言葉も発しています。突如現れた巨額赤字の背景には何があるのか。そして、本当にトンネルは抜けたのでしょうか?

資生堂の巨額赤字の背景

資生堂は、11月10日に今期(2025年12月期)の第3四半期決算を発表しました。連結最終損益(国際会計基準)は520億円の赤字、営業利益も大幅な赤字に転じています。

■買収した米ブランドの不振

最大の原因は、2019年に買収したアメリカのスキンケアブランド「Drunk Elephant(ドランク・エレファント)」の不振です。これにより、約468億円の「のれん減損」を計上しました(のれん減損とは、買収したブランドが想定した収益を生まないと判断された際に行われる会計処理)。

ドランク・エレファントは、環境に優しい「クリーンビューティー」の旗手として人気を集め、買収時には「北米戦略の切り札」と期待されました。しかし、競争の激化やターゲットのズレ、生産トラブルなどが重なり、収益は想定を大きく下回っています。

資生堂では過去にも、米ベアエッシェンル社(2010年買収、2021年売却)を減損するなどしており、今回の出来事も、買収ブランドの育成の難しさを象徴しています。

■「中国」と「免税」の同時失速

しかしながら、ドランク・エレファントの失敗だけでは、これほどの危機は説明できません。より深刻な問題は、資生堂にとって収益の大きな柱である「中国」と「トラベルリテール(免税)」が揃って減速したことです。

この2つの市場が成長ドライバとなり、資生堂の株価は、2010年代には5倍近くの上昇を見せました。

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