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【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?

2025年12月13日(土)11時30分
岡田禎子(個人投資家、ファイナンシャル・プランナー)

しかし現在、中国景気の減速、越境EC規制の強化、韓国・中国ブランドとの競争激化......といった逆風が重なっています。その結果、今年1〜9月の中国・免税事業の累計売上は、前年同期比でマイナス5.7%と大きく落ち込んでいます。

中国依存は資生堂の長年の強みでしたが、同時に最大のリスクでもあることが、今回の決算で改めて明確になったといえます。

■「トンネルを抜けた」の意味

今回の決算では巨額の赤字ばかりが目につきますが、実はほかにも見逃せない重要な点があります。

それは、本業の儲けを示す「コア営業利益」は前年並みを維持していることです。つまり、のれん減損という会計上の損失が赤字の主な要因であり、資生堂の事業そのものが崩れているわけではないことを示しています。

背景には、希望退職やアメリカでのリストラなどによる132億円の人件費削減のほか、生産ラインの効率化、広告費・販管費の適正化といった徹底したコスト改革があります。

また第3四半期単体では、中国・免税事業の売上はプラス8.5%、ヨーロッパはプラス22%と回復の兆しが見られ、これが藤原社長の言う「トンネルを抜けた」という言葉の背景ではないでしょうか。

期待と不透明感で揺れる株価

10月に2800円をつけていた資生堂の株価は、決算発表後、一時2100円台まで下落しました。現在は2400円台まで回復しています。

資生堂の株価

今回の赤字はショックが大きい半面、資生堂が抱えていた課題を可視化し、改革の土台を整える契機にもなりました。そのため株式市場では「悪材料出尽くし」と「回復は不透明」という見方が交錯しているのです。

プラス材料となるのは、アメリカ事業の黒字化や中国市場の回復、また、革新的な新商品の成功などです。その一方で、足元では日中関係の緊張が高まり、処理水問題の際のような不買運動が再燃するリスクも否定できません。

投資家としては厳しく見極めつつも、資生堂らしい成長物語が動き出す日を静かに待っている、といったところでしょうか。

今後の資生堂に求められるもの

資生堂本来のブランド力と技術力は依然として揺らいでいません。そこで、再び成長軌道に戻るために重要な意味をもつのが、2026年から本格始動する「2030中期経営戦略」です。これが実を結べば、市場で再び大きな再評価を受ける可能性を秘めています。

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