コラム

世界的な写真家が「魔法的な構図の創作者」を超えた写真

2019年10月27日(日)10時40分

From Jeff Jacobson @jeffjacobsonpix

<ジェフ・ジェイコブソンの写真哲学は「いつシャッターを切るか」と「その瞬間の立ち位置をどこにするか」の2つだけ。立ち位置のセンスが彼をトップクラスの写真家にしたが、魅力はそれだけではない>

今回取り上げるのは、ニューヨークを拠点に活動するアメリカ人、ジェフ・ジェイコブソン、73歳。非常にシンプルな写真哲学と自分自身に対する忠誠心を持つ天才肌の写真家である。

70年代にはアメリカ南部で弁護士として働いていたが、自分の感情に忠実になりたい、それを表現したいと考え写真家になった。一時期は写真家集団マグナムにも属していた。

ジェイコブソンの作品の最大の魅力は構図にある。しばしば強烈な光を取り入れながら、目の前の空間にあるさまざまなグラフィック的要素を生かし、独自のカメラアイで構図を作り出す。その源は冒頭で述べた痛快な写真哲学からきているが、それは「いつシャッターを切るか」と「その瞬間の立ち位置をどこにするか」の2つだけだ。

とりわけ重要なのは後者。文字通り、被写体を前にしたとき、最も魅力的な空間を切り取るための立ち位置だ。実際、この立ち位置のセンスが、ヴィジュアル的なバックグラウンドなどほとんどなかったにもかかわらず(まともに写真を学んだのはチャールズ・ハーバットのワークショップ1つだけだという)、彼を世界的な写真家の1人にした。

とはいえ、シャッターを切るときの立ち位置は時に、目の前の被写体や空間を、グラフィック的に魅力があるように切り取る以上の意味を持つ。ジェイコブソン自身、年月を経てそう考えるようになったという。

政治的信念、経済的価値観(クライアント、あるいは読者に気に入られる方向性をどうするか)、さらには写真家自身の人生との関連性――それらをどう反映させながら写真を撮るかまで、その意味に含まれてくる。

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

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