そして、かつては「Subject Matter ――具体的な被写体やトピック、イシュー中心主義」つまり、俗に言うフォトジャーナリズム的だったが、今では写真とは自分のパーソナルな人生を映し出すものと考えている、と彼は話す。目の前にある風景、空間に、自分の中の何かが超自然的に共感したものだけを撮るようにしていきたいのだという。
実のところ、このパーソナル性こそがジェイコブソンの最大の魅力だ。立ち位置による魔法的な構図の創作者というだけでは、彼は数あるトップクラスの写真家の1人に終わっていただろう(それでもすごいことだが)。彼の最高傑作とも言われる比較的近年のシリーズ「The Last Rolls」のように、写真そのものを超えるような写真には、行き着かなかったかもしれない。
「The Last Rolls」は、彼が癌を宣告されて死を感じた2005年と、長年彼の作品の手段そのものだったコダクローム(フィルム)が生産を中止した2011年の間に作られたシリーズだ。その作品は、暗いかもしれない。だが同時に、安らぎと、なぜか解放の匂いさえしている(1枚目の写真)。
ジェイコブソンは言う。癌は私の写真にとって贈り物になった、癌と死に向き合ったことが自身の解放になっている、もう何も恐れることはない、時間が最も重要になった......。
幸いにも現在、試験薬が功を奏し、ジェイコブソンの癌は治癒した。彼は今も写真を撮り続けている。
今回紹介したInstagramフォトグラファー:
Jeff Jacobson @jeffjacobsonpix