6月16日、日経平均株価は初めて70,000円をつけ、わずか2か月で1万円の上昇を見せました。そんな中、日本の株式市場を牽引してきた「絶対王者」であり、ハイブリッド車で世界を席巻してきたトヨタ自動車<7203>の株価低迷が止まりません。
2026年に入ってからの株価下落率は一時2割に迫り、株式市場における存在感が急速に薄れつつあります。長らく日本の上場企業の頂点に君臨してきたトヨタに、いま何が起きているのでしょうか。
キオクシアに奪われた「時価総額首位」の座
トヨタ自動車の苦境を最も象徴する出来事が、時価総額ランキングにおける首位陥落です。6月12日、半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス<285A>の株価が急伸し、時価総額が45兆円台に到達。これによってトヨタを上回り、国内上場企業のトップに躍り出ました。
実はその直前の6月1日にも、トヨタはソフトバンクグループ<9984>に抜かれる場面があり、王者の座が激しく揺らいでいる状態です。この逆転劇の背景には、世界的な人工知能(AI)ブームによる投資マネーの大移動があります。
米テック企業のAIデータセンター向け投資が急増したことで、NAND型フラッシュメモリーを手掛けるキオクシアは業績が急拡大しています。市場の見方によれば、キオクシアの今期(2027年3月期)の連結営業利益は前期比8倍の約7兆円に達する見込みで、トヨタが計画する3兆円を大きく凌駕します。
現在、投資家の熱狂はAIや半導体の関連株に集中しており、日本株のアクティブ投資信託においても自動車セクターの保有比率が引き下げられるなど、自動車株は完全に「蚊帳の外」に置かれています。
トヨタを襲う新たな「三重苦」とPBRの低水準
株式市場から冷遇されるトヨタの株価は、6月11日には10か月ぶりとなる安値を付け、企業の解散価値を示すPBR(株価純資産倍率)は1倍を大きく割り込む0.81倍にまで低下しました。
これは、東日本大震災やタイの洪水、そして、1ドル=75円台という歴史的円高が重なった2011年11月以来、実に14年半ぶりの低水準です。現在は1ドル=160円程度の円安環境であるにもかかわらず、当時と同等の先行き不安が市場を覆っていることがうかがえます。