コラム

目標を持つより恐怖を知るほうが大切/cost(~を失わせる)

2017年06月21日(水)17時39分

www.ted.comより

【今週のTED Talk動画】
Why you should define your fears instead of your goals
https://www.ted.com/talks/tim_ferriss_why_you_should_define_your_fears...

登壇者:ティム・フェリス

現代のビジネスパーソンにとって、目標を設定することが成功への道であることはもはや常識的なこと。しかし、このTEDトークでは、ベストセラー作家であるティム・フェリス(ティモシー・フェリス)氏が、自らが発見したより効果的な方法について紹介している。それはずばり、目標を明確にするより、自分が何を恐れているか、怖がっているかを明確にするという方法だ。

彼は最初の起業の際にその方法を活用したと言い、その経験を例にわかりやすく説明している。また彼は、この方法は古代ギリシアの哲学に基づくもので、ビジネスの意思決定に役立つだけではないとも話す。

実はフェリス氏は双極性障害(躁鬱病)を抱えていて、驚くことにそれが引き起こす感情の起伏に対してもこの方法は有効だそうだ。とても実用的でありながら新鮮な方法が紹介されているので、このTEDトークを聞けば、自分が次に決断しなければならない時に活用したくなるに違いない。

【参考記事】誘惑に打ち勝つ意思決定の方法/disabuse(誤った考えを捨てさせる)

キーフレーズ解説

cost~
~を失わせる
(動画3:50より)

何かを失う危険性をもたらすものがある時に、costという言葉が使われることがあります。costは元々は「お金や費用がかかる」という意味ですが、ここで紹介するもう1つの意味はそれが少し比喩的になったものです。意味としては、犠牲を払わせる、あるいは何かによって何かを失わせる、となります。

フェリス氏はこのTEDトークで、この表現を3回も使っています。アメフトのクォーターバックであれば、パスを失敗すれば、that could cost you a game(それによって勝負に負けるかもしれない)。社長ならば、社員の小さなミスに対して激怒することで、that could cost you the employee(その従業員を失うかもしれない)。ひどく落ち込んで、精神的に下方スパイラルに入ってしまった大学生の場合は、that could cost you your life (命を落とすかもしれない)。

以下ではこの表現を用いた例をいくつか紹介します:

●His frequent errors ultimately cost him his job.
(頻繁なミスの結果、彼は結局仕事を失った)

●Carelessness costs lives.
(不注意の結果として、人が死ぬかもしれない)

●That party was fun but it cost me a night's sleep.
(あのパーティーは楽しかったが、そのせいで一夜の睡眠を失った)

【参考記事】良い人生とは何か、ハーバード75年間の研究の成果/wildest dreams(無謀な夢)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

GM、通期利益予想引き下げ 関税の影響最大50億ド

ビジネス

米、エアフォースワン暫定機の年内納入希望 L3ハリ

ビジネス

テスラ自動車販売台数、4月も仏・デンマークで大幅減

ワールド

英住宅ローン融資、3月は4年ぶり大幅増 優遇税制の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story