コラム

トランプ献金呼び掛け「1000%キャンペーン」のまやかし

2020年12月03日(木)17時00分

そこには、確かに献金額と、それにその1000%(10倍)を足した額の表示があって、例えば45ドル払うと、それが「495ドル」に化けるという説明がありました。具体的には「トランプ大統領が、そのインパクトを10倍にしてくれる」というのです。

最初は「何らかの献金をすると、ペンシルベニアなど接戦州に対しては、その10倍のカネを他から回して来る、それでインパクトが10倍になる」とかそういう話だと思っていたのですが、よく読むとそうではないことが分かります。

どういうことかというと、まず、メッセージの全体としては「このキャンペーンでは期限までに500万ドル(約5億円)の募金目標」が設定されているのです。その上で、有権者が仮に10ドル払うと、11倍の110ドル分がその達成額として認識されて、目標達成がスピードアップする、そういうことになります。

要するに、あなたの100ドル(1万円)が11倍の11万円のインパクトに化けるという意味は、全体で5億円集める計画が、とてもムリなので10分の1(正確には11分の1)の約5000万に目標を縮小したということであるわけです。あなたがカネを払うとその金額が目標額に近づくためのインパクトが10倍になる、なぜなら目標が10分の1になったから、とこういうわけです。

感謝祭明けのトランプ陣営からは、大統領とその政治活動団体が、選挙が終わって以降の期間に「訴訟費用など」を名目に、1億7000万ドル(約177億円)を超える資金を集めているというリークがあり、一部のメディアでは大きく伝えられました。ですが、この「1000%キャンペーン」を念頭に置くと、この金額も相当に「マユツバ」だと考えるのが妥当なようです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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