- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 日本の核武装は、なぜ非現実的なのか
日本の核武装は、なぜ非現実的なのか
2012年と現在を比較した場合、具体的な違いは日本が高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を決定したことがあります。大量の使用済み核燃料を抱え、これを主としてフランスでプルトニウムへの再処理をしてもらっている日本は、プルトニウム保有大国です。その保有目的は、何よりも高速増殖炉における「核サイクル」を実用化してエネルギー源とすること、これに加えて通常の軽水炉の燃料としてプルトニウムを付加したMOX燃料を使うことです。
ところが、現在はMOX燃料を使用する「プルサーマル」運転が極めて限定的になっている上に、「もんじゅ」が廃炉とされる一方で、余剰プルトニウムの量は47トンを超えています。このような状況においては、現時点でも国際社会への釈明に苦慮する可能性を抱えています。日本が核武装への動きを見せれば、即座に厳しい査察の対象となることが考えられます。
日本はNPT=IAEAに加盟しているだけでなく、世界の主要国との間で「原子力協定」を締結し、二国間関係として相互に原子力利用の現状を「承認しあって」います。仮に日本が核武装の動きを見せれば、多くの国が日本との原子力協定を破棄することになるでしょう。日本としては、日米原子力協定の破棄、日仏原子力協定の破棄という事態になれば、民生用の原子力平和利用における国際的な協力が受けられなくなります。
【参考記事】日本、北朝鮮に打つ手なし?
また、日本が核武装の動きを見せた場合、これは昨年の米大統領選で候補だったトランプの「暴言」が現実化することになります。当時のトランプは、日本が駐留米軍の費用を100%負担しないのであれば、在日米軍を引き揚げるが、その場合に日本が核武装することは認めるというロジックでした。
順番こそ違え、日本の核武装はトランプの発言そのままです。裏返せば、在日米軍の引き揚げイコール日米同盟の解消へという流れになることが考えられます。
そうなると、日本は対中国、対ロシアなどに対する抑止力を自身で構築することが必要となり、核武装だけでなく通常兵器と兵員についても、数倍のスケールの増備をしなくてはなりません。これに核攻撃力の構築と維持のコストが乗っかるわけで、ただでさえ人口減と競争力低下に苦しむ日本経済は、これに耐えられるとは思えません。
2017年の現在、日本にとって核武装という選択は、以前より一層非現実的になっています。
日本の次期首相に絶対的に必要なのは「円を守り抜く信念」 2025.10.15
いよいよ現実のものになった、AIが人間の雇用を奪う時代 2025.10.08
AI就職氷河期が米Z世代を直撃している 2025.10.01
クールジャパン戦略は破綻したのか 2025.09.24
日本の新政権が向き合うべき、安全保障の「ねじれ」というアキレス腱 2025.09.17
「物価高対策と財政規律の間の最適解」──ポスト石破に求められる最重要課題 2025.09.10
アメリカのストーカー対策、日本との違いを考える 2025.09.03
-
生成AI商材/大手外資系「インサイドセールス「SV候補」」/その他コンサルティング系
ブリッジインターナショナル株式会社
- 東京都
- 年収340万円~450万円
- 正社員
-
人事マネージャー候補/外資系大手オンラインメディア企業
株式会社クリーク・アンド・リバー社
- 東京都
- 年収750万円~950万円
- 正社員
-
給与計算・社会保険「アウトソーシング担当」外資系クライアント中心 英語力を活かしてスキルアップ フレックス・リモート
株式会社クロスヴィジョンインターナショナル
- 東京都
- 年収450万円~600万円
- 正社員
-
外資金融機関での施設警備スタッフ年収472万可能/教育制度あり/賞与支給/稼げる仕事/夜勤あり/経験歓迎
株式会社G4S Secure Solutions Japan
- 東京都
- 年収442万4,000円~472万円
- 正社員