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NY在住の大江千里が明かす、不思議な感覚を生むコロナワクチン接種体験

1月10日に利き腕の左腕にモデルナ社のワクチンを接種した大江氏
<1月10日にモデルナ社の新型コロナワクチンを接種した大江氏。長蛇の列を経てワクチンを接種した先に見た、新しい世界とは――>
マンハッタンに再び陽が昇り始める。ニューヨークは感染者が急増し、健康診断や予防接種で病院に行くたびに深刻な様子をじかに感じるようになった1月9日、僕の元にニューヨーク市から携帯メールが届いた。明日から自分もワクチンが無料で打てるというのだ。
送られたアドレスから登録をしたら、翌日の12時20 分の予約が取れた。「たとえ10分でも早くには来ないで。必ず時間どおりに来てください」という注意書き。
翌日、接種場所である小学校へ時間ちょうどに行ったら大変な列ができていた。2キロくらいだろうか。後ろのほうの男の子に聞くと「俺は11時の回だよ」という。これは2時間待ちだなと覚悟を決める。
「5時間コースだね。ばかばかしい」。そう吐き捨てるように言って離脱する人もいた。しかし、ほとんどの人が従順に列に並び続けた。老若男女のボランティアの案内人がみんな素晴らしく、「寒くない?ハッピー?」と寒空に並ぶ僕たちを励ましてくれる。まるでロックコンサートのアリーナ席に並び合わせているような連帯感がある。
ワクチン接種を終えた人たちがドアから出てくるのが見える。まるで別の惑星から来た異星人のようだ。僕らも、ああいうふうにあのドアから出てこられるのか。結局、思ったほどは待たずに2時間弱で学校の中へ入れた。
いざ、接種テーブルへ。会場はバスケットコートだ。僕の担当はアジア系の看護師さんだった。ファイザー社とモデルナ社のものがあり、僕の場合は申し込む際に自分の意思で選べたのでモデルナにした。
和やかな話をして気持ちをリラックスさせてから利き腕を差し出す。1本は結構な量に見えたが一瞬の注射で入ってしまう。
ワクチンによって体に入るのは病原体の遺伝情報で、体内に抗体が作られる。コロナウイルスが侵入しても、「先客」の抗体によって免疫ができてしまっているので悪さができないそうだ。発症や重症化を防ぐのには役立つが、人への感染予防効果ははっきりとは確認できないといわれている。
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