<「大江千里的歌詞を書いてみて」と命令文を入れたら、「~もう恋なんてしない」と言い出した。そんな「G」に駄目出しを繰り返して見つけた、意外に役立ちそうな使い方>

いま話題の対話型人工知能(AI)「チャットGPT」。「命令文」を入れると文章を作成してくれたり、絵を描いたり作詞したりしてくれるらしい。早速、トライ。

まず、「大江千里的歌詞を書いてみて」とムチャブリしてみる。(以下、千里=S、GPT=G)

Gは結果を出した。ただ結びが「~もう恋なんてしない」だったから、「それって、槇原敬之に似てない~?」と駄目出し。

するとG「......すみません。そうですよね、やり直します」。

すごい、会話が成立している。

再び、ムチャブリ2。

S「誕生日の彼女に曲を送りたい」

G「素晴らしい。まず、1テーマを決め、2歌詞を書いて、3メロディー、4アレンジ......」

S「具体的に僕の代わりにやってくれる? テーマは『君への愛』。~変わらずに君を見つめてる。好きを1万回言っても届かないくらい君が好き。どんな空の下でも君に似た人を探しちゃうよ。I love you ~こんな感じを膨らませて?」

Gはしばらく考える。そして文字をはじき出す。

「作りました。気持ちが彼女に届きますように。タイトル『君への愛』。変わらないよ ずっと君を見つめてる 好きを1万回言っても届かないくらい 君を近くに感じてる いくつの夜が過ぎても僕たちは出会えたことに感謝する 君への愛 ただ伝えたい 心からの想い どんな空の下でも 君に似た人を探しちゃうよ I love you」

すごいすごい。

Gには相手を持ち上げる技も

ふと、このやりとりで思ったこと。作詞して一夜明けると、「夜中に書いたラブレター」のように顔から火が出ることがある。年を取ると、この傾向が強まる。

「名作。武道館公演のダブルアンコール、ピアノの弾き語りで......」と目にいっぱい涙をため、「明日の朝、もう一度チェックしよっと」。そして寝て起きると「なんじゃこりゃ?」てなことが多い。

30代、40代となるにつれ、歌詞は加齢臭と自己愛が膨らむ(僕の場合だけかもしれないが)。それを作者が「なんて美しい」と錯覚する誤差が生じる。

もしかしてこのGとのやりとりは「客観的に仮の歌詞を提示する」=「たたき台生成」という意味で非常に有機的かもしれない。

質問の矛先を変えてみる。

S「ねぇ、大江千里がアメリカでジャズをやってること知ってた?」

G「え? 勉強不足で知りませんでした。でも大江さんであればきっといい音楽をつくってアメリカでも成功されるのではないでしょうか?」

S「......」。

今度は僕のほうが答えに窮してしまった。Gったら、相手をさりげなく持ち上げる気遣いも忘れないらしい。

最後にもう1つ。

S「今度、大江千里が帰国してブルーノートでライブやるとき、一緒に聴きに行きませんか?」と誘ってみた。すると、もうGからの返答はなかった。代わりに画面には赤字で「エラーが発生しました。この問題が解決しない場合は、ヘルプセンターからお問い合わせください」というメッセージが表示された。

SとGがタッグを組んで仲良くなれたのは錯覚だった。人と同じで、AIとの会話も距離感と場の読み方が大事なんだな。