単なる「スシ・ビール」を超えた...「賛否分かれる」アサヒスーパードライが「ビールの本場」で愛される理由
ATSUSHI KATSUKI
日本流の「おもてなし」
アサヒは、客にロゴを向けてグラスを差し出すようパブの従業員を指導している。日本の会社員が相手に読みやすい向きで名刺を渡すのと同じ、日本流の「おもてなし」だ。
「ロンドンでもシカゴでも『日本らしさ』を象徴する顧客中心のサービスを徹底している」と、24年のリニューアルでアサヒと組んだイギリスのブランディング企業パープル・クリエーティブ(Purple Creative)のゲイリー・ウェストレイク(Gary Westlake)は言う。
日本らしさは間違いなく強みになる。筆者の地元のパブには、スーパードライが大好きなクリスという常連がいる。「日本はいつか絶対行きたい国だから」という理由で、彼はスーパードライを選ぶ。
言い換えるなら、アサヒのビールを飲めば日本とのつながりを感じ、日本に行った気分さえ味わえる。「日本という国の魅力が、そのままアサヒの強さだ」と、ウェストレイクも指摘する。
スーパードライはイギリスに「定着」したが、「成長」を続けられるかは分からない。競争は熾烈で、一世を風靡したモルソン・アイスもホフマイスターもボティントンも、数年で人気は落ち着いた。
スーパードライの行く末は、未来だけが知っている。だが勝木体制の下、アサヒが未来のビジョンをはっきりと描いていることは明らかだ。

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