最新記事
犯罪

トランプ「首都に州兵を投入する!」...ワシントンD.C.の犯罪率悪化は本当か? データが語る驚きの実態

Are Trump's Claims About 'Dangerous' Washington, DC Backed By Data?

2025年8月12日(火)18時00分
ケイト・プラマー
ワシントンD.C.のホームレス

ワシントンD.C.のホームレス Ken Cedeno-REUTERS

<トランプはワシントンD.C.の治安悪化を名目に、同区に州兵の派遣を検討するなどしているが>

ドナルド・トランプ米大統領は、ワシントンD.C.を「世界で最も危険な都市の1つ」と主張。無法状態に陥りつつある都市として喧伝している。

【動画】ワシントンD.C.に州兵派遣などを発表するトランプ

しかし、本誌が複数のデータを用いて分析すると、実態はトランプの妄想ほど単純ではないようだ。

本誌はホワイトハウスにコメントを求めた。


トランプは最近、ワシントンD.C.の犯罪率が悪化しているとの発言を繰り返している。犯罪対策として、ワシントンD.C.を連邦政府の管理下に置く可能性に言及してきた。

また、3月に発令された「コロンビア特別区を安全で美しい場所にする」大統領令や、8月7日の元政府高官への襲撃事件を受け、トランプは連邦法執行機関の「配置強化」をワシントンD.C.に指示するなどしている。

しかし、データを見る限り、トランプの主張する「ワシントンD.C.の犯罪率悪化」は妄想と言わざるを得ない。

ワシントンD.C.連邦検事局が1月に発表した警察データによると、2024年の暴力犯罪は過去30年間で最低水準となった。殺人、強盗、カージャック、危険な武器による暴行など他の犯罪も減少している。

ワシントンD.C.警察のデータによれば、今年の暴力犯罪は前年同期比26%減となった。内訳は、殺人が12%減、強盗が28%減、危険な武器による暴行が20%減。カージャックに至っては37%減となった。

FBIが8月に発表したデータでも、2024年のワシントンD.C.における暴行、殺人、誘拐、拉致、性犯罪といった「対人犯罪」の総件数は2万2320件と、2023年の2万3914件から減少している。その大半が暴行事件(2万1437件)であり、次いで性犯罪(655件)、殺人(179件)、誘拐(49件)が続く。

ただし、カリフォルニア州、ニューヨーク州、テキサス州などの人口が多い州と比較すると、ワシントンD.C.の対人犯罪率は高い傾向にある。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア軍、ウクライナ東部で突如攻勢 米ロ会談前に占

ビジネス

英政府、経営難の水道会社巡り助言契約と関係筋 特別

ワールド

ガザ市攻撃で11人死亡、南部にも空爆 増える餓死者

ビジネス

アングル:最高値の日本株、株高持続の見方 米株や国
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入する切実な理由
  • 2
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 3
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 4
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    【徹底解説】エプスタイン事件とは何なのか?...トラ…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋…
  • 9
    「古い火力発電所をデータセンターに転換」構想がWin…
  • 10
    「靴を脱いでください」と言われ続けて100億足...ア…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 7
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 8
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中