最新記事
フィンランド

「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ

2025年11月30日(日)19時10分
フィンランドのヘルシンキ

世界一幸せな国に、厳しい向かい風が吹いている。写真は、フィンランド国会議事堂前で集会を行うヨウホ・ペッカ・パロマーさん(33)。10月30日、フィンランドのヘルシンキで撮影(2025年 ロイター/Tom Little)

世界一幸せな国に、厳しい向かい風が吹いている。失業してから1000日が過ぎたヨウホ・ペッカ・パロマーさん(33)は、それでもまだ、フィンランドの抱える問題に気持ちまで押しつぶされてはいない。

フィンランドは、経済の停滞、失業率の上昇、財政のひっ迫に直面しながらも、国連が毎年発表する「世界幸福度報告書」では、8年連続で「世界一幸せな国」の座を守っている。

専門家によれば、この背景には手厚い福祉国家の仕組みがある。ただ、高齢化による社会保障費の急増を受け、政府はその福祉関連費用の削減に踏み出した。

「これまではセーフティーネットや社会保障に金銭面で支えられたことに感謝している。保障が削減されたからといって、昔より不幸になったというわけではない」とパロマーさんは語る。失業して1000日を迎えたこの日、彼は食べ物持ち寄りの集会を主催するため国会議事堂前の階段に立っていた。

「ただ、今の自分の状況を変えるためにできることは、あまりない」と続ける。元映像プロデューサーの彼は、数え切れないほどの応募書類を出し、面接も11回受けたが、いずれも不採用に終わった。

政府は失業手当を削減した一方、「ほとんど神聖な」年金には手を付けていない、と彼は訴えた。

<ノキアの携帯事業の破綻とロシアへの制裁>

かつて欧州で最も価値ある企業だった通信機器大手ノキアの携帯電話事業は、タッチスクリーン型スマートフォンへの移行に失敗し、2014年に終了。輸出に依存するフィンランド経済は、その後も長く苦境が続く。ウクライナ戦争をめぐる隣国ロシアへの制裁は輸出と観光産業に打撃を与え、関税や世界貿易をめぐる不確実性は、新たな重しとなった。

事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、今月初めの米軍による攻撃で兵士47人死

ワールド

EU、重要インフラでの中国製機器の使用を禁止へ=F

ワールド

イラン抗議デモ、死者3000人超と人権団体 街中は

ワールド

韓国、米のAI半導体関税の影響は限定的 今後の展開
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 8
    イランの大規模デモ弾圧を可能にした中国の監視技術─…
  • 9
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 10
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 6
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中