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中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に、そして確実に距離を広げよ

When Your Neighbor Is a Bully

2025年11月26日(水)19時30分
練乙錚(リアン・イーゼン、経済学者)
中国の習近平国家主席と韓国で初会談した高市(10月31日) XINHUA/AFLO

中国の習近平国家主席と韓国で初会談した高市(10月31日) XINHUA/AFLO

<高市首相の「台湾有事」答弁をきっかけに、中国が再び強い反発を示している。外交カードとして繰り返される「かんしゃく」のような怒りの表出に、日本はどのような姿勢で臨むべきか。今回の一件は、高市政権にとって逆に「追い風」となりつつある日本国内の変化も浮き彫りにした>


▼目次
高市発言の背景にある「真の懸念」とは
高市政権に吹いた「追い風」の正体
「かんしゃくを起こす中国」に日本はどう対応すべきか

国会で質疑に答えた高市早苗首相の一言が、嵐の吹き荒れやすい日中外交の空を真っ赤に染める火種となった。

発言があったのは11月7日。台湾が武力攻撃を受けた場合、日本が集団的自衛権を行使する「存立危機事態」になり得るというものだ。この発言は、2015年に成立した安全保障関連法に基づく、ごく平穏な法的見解にすぎなかった。

ところが、中国は激しく取り乱した。中国外務省は高市発言を「中国の内政への重大な干渉」と非難し、謝罪と発言の正式な撤回を要求した。高市はこれを拒んだ。彼女に引き下がるつもりなどあるはずがない。

この小競り合いが激化する可能性は低い。高市発言の背後にあるのは、安倍晋三元首相が21年に初めて明言した「台湾有事は日本有事」という基本姿勢だ。この立場は既に日本社会で確立されており、中国も十分に理解している。今までと違うのは、高市が言葉を濁さず、仮定の例を明確に示したことくらいだ。

それでも中国政府は国民に訪日自粛を呼びかけ、予定されていた日本企業の訪中団との会談を取りやめ、日本産水産物の輸入を停止するなど、怒りに満ちた行動に出ている。中国がこうした態度を取るのは初めてではない。

12年に日本政府が尖閣諸島の3つの島を国有化したとき、中国側は怒りを爆発させた。国内の約100都市以上で反日デモが起こり、暴徒が日本車を破壊し、日本へ行く中国人観光客は40〜50%減少した。日本の経済損失はGDPの約0.8%に上った。

私の計算では、全体的な被害規模は16年の熊本地震と同程度だろうとみられる。今回の対立による悪影響も、同じ規模になるかもしれない。

しかし、意図的で挑発的な軍事衝突やそれ以上の武力行使という力ずくの対応に発展する可能性は低い。騒動が大きくなれば、日本企業の大量撤退と、それに伴う国内労働者の大規模な失業を招く恐れがあるからだ。いま景気後退が深刻化すれば、中国の体制が不安定化しかねない。

しかも根深い汚職が蔓延する人民解放軍は、日清戦争で西太后の浪費による戦費の不足で北洋艦隊が日本に惨敗したときよりもさらに劣悪な状態にあるともみられている。

中国政府がここで深呼吸し、台湾問題に関する怒りを抑えて、もう少し自制を働かせることができれば、大きな利益を得られるだろう。逆説的だが、これは日本が台湾の地位が未確定であると正しく理解していることと深く関わっている。その点を確認するために、台湾に関する日本政府の発言を見てみよう。

12年に国会に提出された「台湾返還に関する質問主意書」によれば、1964年2月29日の衆院予算委員会で当時の池田勇人首相は「サンフランシスコ講和条約の文面から法律的に解釈すれば、台湾は中華民国のものではございません」と答弁している。

続けて池田は、ポツダム宣言などから考えると「日本は台湾の領有権を放棄しており、その帰属は連合国が決めるべき」とした上で、「中華民国政府が現に台湾を支配」していると指摘。そのために「各国もその支配を経過的なものと申しますか、世界の現状から言って一応認めて施政権があると解釈しております」と述べた。

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