<日本の皇位継承問題は、表面的にはジェンダーの議論に見える。しかし、問題はもっと根深い>

日本で続く皇位継承論議は、表面的にはジェンダーの問題、つまり、皇位継承を男系男子に限定することの是非をめぐる議論に見えるかもしれない。

しかし、問題はもっと深い。天皇はどのような社会を体現しているのか、日本の文明の「本質」とは何か、日本はどのような社会なのか、どのような社会であるべきなのかという点が問われている。

旧宮家男系男子の皇族復帰などにより男系男子継承を維持することを目指す動きは、日本の歴史的・文化的な「本質」の連続性を保持しようとする試みと言えるだろう。一方、男系男子限定の皇位継承制度を変更すれば、日本社会の「本質」が既に変わっていて、今後も変わらざるを得ないという現実を、皇室に体現させることになる。

この議論に結論を出す上で決定的な要素は、今が2026年であり、初代天皇の神武天皇が即位したとされる紀元前660年ではない、という事実だ。

日本の天皇制は、ほかの全ての君主制と同様、現代とはまるで別世界だった時代に確立された。当時の社会は、徳や役割、権威との近さを軸に組織された社会だった。階級の序列が当たり前に存在し、個人の役割は恒久的に固定されていて、個人は生来の権利も主体性も持っていなかった。男性は女性より上位の存在であり、臣民の存在理由は国家に奉仕することにあった。

君主の地位の継承を男子に限定するのは、前近代の父権社会で典型的なパターンだが、日本の皇室の父権制の独特な点は神話との結び付きにある。男系男子による皇位継承は、天皇を中心とする神話的秩序の一部なのだ。ヨーロッパの王室が性別を問わない継承制度へ近代化できたのは、王室の正統性の基盤が主として政治的なものだったからだ。それに比べて、日本の皇室の正統性の基盤は、ずっと神話的な性格が強かった。

皇位継承問題の解決策は明白
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