皇位継承問題の解決策は明白
とはいえ、人類の歴史で起きた2つの大きな変化は無視できない。1つの変化は、権利と主体性を持つ近代的個人の登場。もう1つの変化は、そうした個人に奉仕するための近代的国家の出現である。
この500年間、合理主義の浸透と個人の地位向上を通じてこうした変化が起き、世襲的な階層秩序は崩壊した。そして日本では、天皇の神聖な権威や旧来の皇位継承の在り方と、天皇が体現すべきと考えられている社会の在り方が乖離し始めた。
今日、カメの甲羅を火であぶり、ヒビの入り方で吉凶を占う「亀卜(きぼく)」を本気で信じている人はまずいないだろう。日本の社会および天皇制が近代的な合理主義より天皇の神話的権威を、個人の能力や努力より家系を、民主的な社会や政治より厳格な身分秩序を体現すべきだと考える日本人も、今ではほとんどいない。
しかし、天皇が日本国民の統合の象徴として機能し続けていることも事実だ。天皇は日本の永続的な価値観、日本の文化と精神性の「本質」を体現している。現在も国民の皇室に対する好感度は非常に高い。皇室の在り方を変えれば重要なものが失われるのではないかと感じている人が多い。
その一方で、世論調査によれば、69%の人は、女性の皇位継承を可能にする法改正に賛成している。天皇の本質的な役割は日本社会を体現することであり、その役割に関して性別などの属性は関係ない、ということなのだろう。
皇位継承問題の解決策は明白に思える。天皇の役割に天皇の性別は関係ないと認識すれば、天皇は日本社会の伝統と「本質」──今日の日本社会の「本質」──を象徴する存在であり続けられるだろう。