コラム

日米関税交渉、日本は「取りあえずの勝ち」だが...待ち受ける「今後の交渉」の内容とは?

2025年08月06日(水)17時07分
関税交渉でトランプから譲歩を引き出した日本

NATHAN HOWARD-REUTERS

<複数の偶然が重なったこともありトランプ政権から大きな譲歩を引き出した日本の交渉は成功と言っていいが、これから第2ラウンドが始まると考えるべきだ>

一時は決裂の可能性すら取り沙汰されていた日米貿易交渉が急転直下、妥結となった。

アメリカ国内の事情からトランプ氏が大幅に譲歩した格好だが、一方的に関税を課される側の日本にとってはもともと不利な交渉だった。当初、25%の水準を死守すると思われていたアメリカ側から15%までの妥協を引き出しただけでも、取りあえずの「勝ち」と捉えてよいだろう。

トランプ政権はアメリカの伝統にのっとり、国内産業を保護するため他国からの輸入に対して関税をかける方針を宣言していた。特に自動車はアメリカにとって象徴的な工業製品であり、トランプ氏は日本車の輸入に25%の高関税を課す方針を示していた。


一方、日本にとって自動車産業は基幹産業であり、25%の関税は絶対に受け入れられない水準だった。双方の溝が埋まらず、交渉は前に進まなかった。それなのにここにきてトランプ氏が大幅に譲歩した背景には、支持層への配慮があると考えられる。

トランプ政権は各国に対して相互関税を一方的に通告したものの、主要な貿易相手国の多くと合意できない状態が続いた。さらに大統領自身に関するスキャンダルが再燃したことも重なり、トランプ氏としてはとにかく日本との交渉をまとめ、成果をアピールしたいという事情があった。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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