コラム

高市首相の「台湾有事」発言、経済への本当の影響度...「楽観論」で語られるほど単純ではない理由

2025年12月04日(木)11時44分
台湾有事への発言で中国の反発を招いた高市早苗首相

KAZUKI OISHIーSIPA USAーREUTERS

<高市首相の台湾有事に対する「存立危機事態」答弁に強く反発する中国。状況がさらに悪化すれば、現在よりはるかに深刻な影響が日本経済に及ぶシナリオもあり得る>

高市早苗首相の発言をきっかけに日中関係が急速に冷え込んでいる。事態の打開には時間がかかるとみる専門家が多いが、日本経済の中国依存度は高まる一方であり、状況は複雑化している。

中国政府は台湾有事をめぐる高市氏の国会答弁に激しく反発しており、数多くのイベントが中止になったほか、海産物の輸入停止や中国から日本への渡航自粛といった措置を繰り出している。もっとも海産物の輸入停止は過去にもあった措置であり、関係業界への影響が大きいとはいえ、日本全体として大きなマイナスにはなっていない。


だが状況がさらに悪化し、商用ビザの発給制限や投資抑制といった事態に発展した場合、日本経済には極めて深刻な影響が及ぶ。その理由は、日本の産業界は急速に中国依存度を高めており、政治的に対立しているにもかかわらず、ビジネス面では中国にどっぷりと依存しているからである。

かつて日本における最大の貿易相手国はアメリカという時代が長く続き、日本企業はアメリカに製品を売って収益を上げてきた。ところが、ここ10年は状況が大きく変わっており、輸出入共に中国依存度が高まっている。輸入については、既に中国が最大の貿易相手国であり、輸出についても香港を加えるとやはり中国が最大の取引先である。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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