<労働党内の危機感は限界に達し、首相の求心力は崩壊一直線だ>
6月18日投開票の英メイカーフィールド選挙区補選で前マンチェスター市長アンディ・バーナム氏が55%近い得票率で圧勝した。バーナム氏が国政復帰を果たしたことで支持が低迷するキア・スターマー首相退陣に留まらず政治的地殻変動を引き起こす可能性がある。
【動画】アンディ・バーナム氏がメイカーフィールド補欠選挙で勝利
同選挙区は2016年欧州連合(EU)国民投票で3分の2が離脱を支持、先の統一地方選で新興の強硬右派政党「リフォームUK(改革英国)」が労働党を20ポイントも引き離した。「北の王」と呼ばれるバーナム氏の集票力はスターマー政権に対する有権者の不信感を裏付けた。
一方、スコットランドの2つの補選では労働党はいずれも4位に沈んだ。スコットランドでの惨敗とメイカーフィールドでのバーナム氏の圧勝はスターマー氏の下ではリフォームUKに対抗できないという労働党内の危機意識をより一層強めた。
想定される3つのシナリオ、党首選になれば泥沼化か
バーナム氏は「英国の新たな道を切り拓く」と事実上の政権批判を展開した。労働党内からは即座の首相交代を求める声が噴出している。バーナム陣営はスターマー氏に「秩序ある指導権の移行」を促し、労働組合も党首選日程の策定を求めている。
バーナム氏支持に回るため閣僚辞任の動きも現実味を帯びている。すでに100人以上の一般下院議員が首相退陣を求めており、国防予算の不足を巡るジョン・ヒーリー国防相の辞任以降、スターマー氏の求心力は完全に崩壊している。
スターマー氏は「首相の職務から逃げ出すことはない」と、党首選になれば自身も立候補して徹底抗戦する構えを崩していない。スターマー氏即時辞任、 9月党大会を花道にスターマー氏が退陣を約束しバーナム氏に権力移譲、泥沼の党首選に突入する3つのシナリオが考えられる。