単なる「スシ・ビール」を超えた...「賛否分かれる」アサヒスーパードライが「ビールの本場」で愛される理由
ATSUSHI KATSUKI
スーパードライが素晴らしいビールか否かについては意見が分かれる。伝統的なイギリスのエールほど複雑な味わいがなく、ベルギービールのような個性もないとして、通の間ではあまり好まれない。
ただし、スーパードライにはブレがない。その名のとおり「スーパードライ」で後味がすっきりしていて爽快、会社帰りに喉を潤すには最適だ。料理の味を邪魔しないので、パブで出されるミートパイやフライドポテトなどさまざまな料理とも相性がいい。
1987年の発売以来、秀逸なマーケティングを展開してきたことも誰もが認めるところ。商品名もシルバーのラベルも一目で分かるほど印象が強く、24年に世界戦略を強化した際も手を加える必要がほとんどなかった。パッケージデザインは現在、日本以外は世界共通だ。
だが進出先では、その土地ならではの苦労がある。例えばイギリスのパブでは、多彩な生ビールとの競争を勝ち抜かねばならない。
また、「プレミアムビール」を頼んだ人は周囲にそれをアピールしたいから、メーカーは専用のグラスを用意しなければならない。
アサヒのグラスは見た目も重さもいい。ガラスが厚く、ビールがぬるくなりにくい(イギリスのパブは立ち飲みも多く、客は1パイント=約568ミリリットルのグラスをずっと手に持っている)。