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再送-〔兜町ウオッチャー〕最高値の日本株、株高持続の見方 米株や国内政治で思惑

2025年08月13日(水)09時19分

 8月12日、日経平均が史上最高値を更新する中、市場では高値警戒感がくすぶる一方で株高継続への思惑も出ており、強弱観が交錯している。写真は日経平均を示すボード。都内で同日撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

(12日に配信した以下の記事で最終段落の表記の重複を修正しました)

Noriyuki Hirata

[東京 12日 ロイター] - 日経平均が史上最高値を更新する中、市場では高値警戒感がくすぶる一方で株高継続への思惑も出ており、強弱観が交錯している。ここまでの株価は企業の業績面からは時期尚早との見方がある一方、米株の先高観や国内政治の変化への期待が株高を支援するとの見方も根強い。

<米株高は構造的需要が背景>

「誰もが納得できるような上昇ではないが、ついていくしかない」と東洋証券の大塚竜太ストラテジストは話す。連休明けの東京市場で日経平均は、昨年7月につけた過去最高値を更新し、上値を伸ばした。

背景には、米国の早期利下げへの思惑に伴う米株の先高観や、国内政治への思惑があるほか、急速な株高による空売り投資家の踏み上げ(損失覚悟の買い戻し)が指数の上昇に弾みをつけたとみられる。米相互関税の関税率が決まったことや、企業決算シーズンを大きな波乱なく通過しつつあることも買いにつながったとみられている。

米国株は月初、7月の米雇用統計やISM製造業景気指数が市場予想を下回り、景気懸念が強まって軟化した。ただ、その後はむしろ早期利下げを促すとの解釈が強まって金利が低下し、割高感が弱まった半導体株などの成長株を中心に上昇している。

野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは「マクロ面の悪化だけで過度に弱気に振れる必要はない」との見方を示す。米国株の上昇は大手ハイテク企業のいわゆるマグニフィセント・セブンの株高がけん引してきた。その業績は「景気に左右されにくいAI(人工知能)という構造的な需要を背景に堅調さを維持している」との見立てが背景にある。

国内では、8日に開かれた自民党の両院議員総会で、党則に基づく臨時総裁選実施の要否を検討する方針が決まった。「政治の変化への期待で株買いというストーリーは海外勢にはわかりやすい」とニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは指摘する。

参院選では財政拡張的な政策を打ち出した野党が躍進しており、総裁選に向けた動きは財政拡張への思惑につながりやすい。菅義偉元首相の辞意表明後の株高や昨年の総裁選時の株高など、政治面の変化が株高反応につながった経緯がある。

<EPS低下でも株高モメンタム維持か>

一方、将来の成長期待を映す日経平均の株価収益率(PER)は、8日時点で17.25倍と、過去数年の中心レンジとなる14―16倍の上限を大きく上回っている。過去の株価評価に照らせば割高感が意識されやすい。逆に1株当たり利益(EPS)は7月後半からの決算シーズンを通じて低下し、前のめりでは買えないとの慎重な見方も根強い。

12日の市場では相応の売りもあったが、短期筋の力技に押し切られる形となったとの見方もある。個人投資家の一部による逆張りの売りや年金基金によるリバランスの売りが観測されたのに対し、朝方から先物に断続的な買いが入り、売買代金は6.8兆円と膨らんだ。

海外短期筋のCTA(商品投資顧問業者)などトレンドフォロワーの動向について、JPモルガン証券の高田将成クオンツ・ストラテジストは「ようやく日本株に戻ってきた局面」とみており、買い余力はありそうだという。

目先では日本時間12日夜に発表される7月の米消費者物価指数(CPI)に市場の関心が集まる。市場予想を過度に上振れるようなら、景気減速とインフレが同時進行するスタグフレーション懸念から早期利下げ期待が後退する可能性が意識される。利下げ期待を背景にしてきた米株高にもブレーキがかかりかねない。

米CPI後にも、卸売物価指数(PPI)や小売売上高などの重要な米経済指標の発表を控えており、目配りは必要になる。ただ、これらのイベント後に株安となるようなら押し目買いを入れようと待ち構える投資家も多いとみられている。

JPモルガンの高田氏はトランプ関税は足元で悪化する方向にはない上、景気もリセッションにはほど遠いとして「仮に利下げ期待が後退しても、景気や企業業績が悪くないことに引きずられ、(株高の)モメンタムが醸成されている大きな構図は変わらないのではないか」とみている。

東証プライム市場では、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率を指数化した騰落レシオが、過熱感が非常に強いことを示唆する149%に高まっており、短期的な調整リスクを警戒する声は根強い。

一方、過去の値動きと照らせば、騰落レシオが135%より上になると1カ月間程度、株高が続くケースが多いと大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは指摘する。投資家の懐具合が良くなることが背景にあるといい「秋口に総裁選というスケジュール感を前提にすれば、景気対策がイメージされる中で株高は続きやすい」と話している。

ロイター
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