ニュース速報
ビジネス

パラマウント、ワーナーに敵対的買収提案 1株当たり30ドル

2025年12月09日(火)11時31分

米カリフォルニア州バーバンクのワーナー・ブラザース・スタジオ。 2025年11月18日撮影。REUTERS/Mike Blake

Harshita Mary Varghese Aditya Soni Dawn Chmielewski

[8日 ロイター] - 米メディア大手パラマウント・スカイダンスは8日、同業ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)に対する1084億ドルの敵対的買収案を発表した。WBDの全株式を1株当たり30ドルで、全額現金で買収する。

ワーナー・ブラザースを巡っては、米動画配信大手ネットフリックスが先週5日、WBDのテレビ・映画スタジオとストリーミング部門を720億ドルで買収することで合意したと発表。1株当たり約28ドルを提示していた。

パラマウントの動きは、WBDを巡る争いがすぐには決着しないことを意味する。

WBDの取締役会は8日午後、パラマウントの提案を検討すると述べたが、ネットフリックスに関する勧告は変更しなかった。パラマウントの提案に関して「現時点では何もしない」よう助言した。

パラマウントの1株当たり30ドルの現金での提案には、トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏が経営する投資会社アフィニティ・パートナーズと複数の中東政府系投資ファンドからの資金調達が含まれており、エリソン一族が支援している。世界第2位の資産家であるラリー・エリソン氏は、パラマウントのデービッド・エリソン最高経営責任者(CEO)の父親で、ホワイトハウスと密接な関係にある。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がホワイトハウス当局者らの話として報じたところによると、ラリー・エリソン氏はネットフリックスによるWBD買収発表後にトランプ氏に電話し、この取引が競争を阻害すると伝えた。

パラマウントは、WBD全株買収の提案は、ネットフリックス案よりも優れており、株主に180億ドル以上の現金をもたらすほか、規制当局による承認への道も容易だとしている。また、パラマウントとWBDの統合は、制作側や映画館、消費者にとって最善の利益となり、競争強化の恩恵を受けるとも指摘。エリソンCEOは声明で、「われわれの申し出は、より強いハリウッドを作ると信じている」と述べた。

ネットフリックスの提案は、独占禁止法の強い監視の目にさらされる可能性が高い。トランプ米大統領は7日、統合後の市場シェアが懸念を引き起こす可能性があるという見解を示した。

与野党議員からも反トラスト法(独占禁止法)違反に該当するのではないかと指摘する声が出ている。

ただ、パラマウントによる買収提案も精査に直面する可能性がある。パラマウントとWBDの合併は、スタジオ事業における支配的地位を高めることになるが、業界の急速な統合に伴い雇用の喪失につながると心配する声もある。

eMarketerのシニアアナリスト、ロス・ベネス氏は「WBDの買収はまだ終わっていない。ネットフリックスは運転席に座っているが、ゴールまでには紆余曲折があるだろう。パラマウントは株主や規制当局、政治家に訴え、ネットフリックスの勢いを阻もうとするだろう。争いは長期化する可能性がある」と述べた。

ネットフリックスのテッド・サランドス共同CEOは、パラマウントによるWBDへの敵対的買収は「完全に予想されていた」と述べ、取引の成立に自信を示した。

「パラマウントの提案では60億ドルのシナジー効果について言及されていた。このシナジーはどこから生じるのか。人員削減か。われわれは雇用を削減せず、創出する」と語った。

トランプ氏は8日、どちらの買い手候補も「私の友人ではない」と述べ、「正しいことをしたい」と語った。また、パラマウントの提案についてクシュナー氏と話していないとした。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

台湾総統、米アリゾナ州への半導体投資拡大に期待

ワールド

中国商務次官、HSBCなど英企業と会合 スターマー

ビジネス

英小売売上高、12月は予想外のプラス 景気回復の兆

ビジネス

ドルが一時2円弱急落、日銀総裁会見後に急動意 レー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 8
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 9
    コンビニで働く外国人は「超優秀」...他国と比べて優…
  • 10
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中