コラム

緊迫カタルーニャのツイッター大喜利「プッチダモンはどこだ」が面白い

2018年01月29日(月)16時55分

プッチダモンは現れるのか。信任投票が行われるカタルーニャ議事堂。スペイン国旗とカタルーニャ州旗がたなびく Photograph by Toru Morimoto

<スペイン憲法裁が、独立派プッチダモンの「遠隔地就任」を認めないとの判断。これまでプッチダモンは警察の目をかいくぐって投票や「亡命」を行ってきただけに、就任投票の1月30日には思いもよらない方法で現れるのではないかと噂されているが......>

独立運動をめぐって、スペイン中央政府から「国家反逆罪」などの疑いで逮捕状が出ているカタルーニャ州元首相カルラス・プッチダモン。昨年10月の住民投票後に独立を宣言して以来、ベルギーのブリュッセルで「亡命生活」を送っている。

12月の州議会選挙で独立賛成派が多数を占めたため、カタルーニャ議会が信任投票でプッチダモンを州首相として再任――と思いきや、ここへ来て、中央政府が憲法裁判所を使って妨害してきた。

憲法裁判所が出したプッチダモン首相再任の条件は、「彼の議会へ出席」と「最高裁判事の出す帰国許可(逮捕状の取り下げ)」。検討されてきた国外からビデオ会議を使って行う「遠隔地就任」作戦は否定され、帰国しようにも、スペイン国内に入った時点で身柄を拘束される。就任投票を1月30日の午後3時に控えている。

プッチダモン本人は、このタイミングでカタルーニャに戻るのか。リスクを冒して、信任投票が行われるカタルーニャ議事堂に現れるのか。

スペイン政府側は、プッチダモンの「帰国」阻止のため神経を尖らせ、内務大臣は「車のトランクに隠れても入国はさせない」と発言した。スペイン警察は、陸・海・空の国境警備を増員し、特に議事堂周辺では、全てのマンホールを開けて、下水道からの侵入路をチェックしている。

スペイン政府が異常とも思えるほどの警備体制を敷くのも無理はない。これまで、カタルーニャ側に翻弄されてきたからだ。

昨年10月1日、スペイン政府が違法としたカタルーニャの独立を問う住民投票当日、以前からスペイン警察が血眼で探していた投票箱が、投票開始直前になってカタルーニャ全土の投票所に忽然と現れたことは記憶に新しい。秘密裏に投票の準備が進んでいたのだ。

また、プッチダモンは投票日にスペイン警察のヘリコプターに追跡されたが、トンネル内で他の車に乗り換えて追っ手を振り切った。彼が投票すると思われていた投票所には、スペイン治安部隊が侵入して待ち構えていたが、別の投票所で難なく一票を投じた。

さらに、独立宣言の翌日、プッチダモンの逮捕が予想される中、彼のツイッターのアカウントから「ボン・ディア(カタルーニャ語で「おはよう」)」というツイートと共にカタルーニャ県庁の庭の写真がアップされたが、実はそのとき既にブリュッセルに向かっていた。未だにどのようにスペイン警察の目をかいくぐって無事にブリュッセルに入ったかは明らかにされていない。

何度も裏をかかれ、面子を潰されたスペイン政府のトラウマは計り知れない。

プロフィール

森本 徹

米ミズーリ大学ジャーナリズムスクール在学中にケニアの日刊紙で写真家としてのキャリアを開始する。卒業後に西アフリカ、2004年にはバルセロナへ拠点を移し、国と民族のアイデンティティーをテーマに、フリーランスとして欧米や日本の媒体で活躍中。2011年に写真集『JAPAN/日本』を出版 。アカシギャラリー(フォトギャラリー&レストラン)を経営、Akashi Photos共同創設者。
ウェブサイト:http://www.torumorimoto.com/

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送フーシ派がイスラエル攻撃、イエメンの親イラン武

ワールド

再送-UAEのアブダビで5人負傷、火災も発生 ミサ

ワールド

タイ新政権、来週発足へ アヌティン首相が表明 

ビジネス

中国の大手国有銀3行、25年の利益ほぼ横ばい 不動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 2
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?...「単なるホラー作品とは違う」「あの大作も顔負け」
  • 3
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のSNS動画が拡散、動物園で一体何が?
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が…
  • 8
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 9
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 10
    「酷すぎる...」ショッピングモールのゴミ箱で「まさ…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 10
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story