コラム

カタルーニャ騒然、前州首相プッチダモン身柄拘束の意味

2018年03月28日(水)18時40分

プッチダモン前首相の身柄拘束に抗議する独立派の大規模デモ。機動隊の前で「政治犯釈放」の旗を掲げるデモ参加者(3月23日、バルセロナ) Photograph by Toru Morimoto

<プッチダモン前州首相がドイツで身柄拘束。スペインに身柄が引き渡されれば「国家反逆罪」で裁かれることになり、独立派の抗議行動でカタルーニャは揺れている>

3月25日、カタルーニャ州前首相カルラス・プッチダモンが、ドイツで身柄を拘束された。数日前からフィンランドで会議などに出席していたプッチダモンに対して、スペイン政府が「国家反逆罪」の容疑で国際逮捕状を再発行していた。

カタルーニャの独立派主要議員たちは、昨年10月の住民投票の結果を受けて独立を採択して以来、スペイン政府から過酷な三者択一を迫られてきた。

議員を辞めますか? 刑務所に行きますか? それとも、「亡命」しますか?

mori180328-02.jpg

カタルーニャ州内の工場の壁。「釈放。政治犯」と書かれている Photograph by Toru Morimoto

まず、スペイン政府は、カタルーニャ州政府を解体し、州政府副首相を含む閣僚8人を一斉検挙した。うち6人は1カ月後に保釈されたが、2人は再逮捕を免れるため釈放後すぐに議員を辞職、それ以外の4人は3月に再び獄中へと送られた。

プッチダモンら5人の閣僚は、逮捕を避けるために、10月の時点でベルギーの首都ブリュッセルに「亡命」した。

さらに、独立宣言採択時の元カタルーニャ議会議長が逮捕され、独立派連立与党の第二党書記長と第三党元党首が国外へと逃れ、現在「亡命」中の独立派主要議員・元議員は7人とされている。

mori180328-03.jpg

独立運動の旗を担ぎ、高台から群衆を眺める女性 Photograph by Toru Morimoto

プロフィール

森本 徹

米ミズーリ大学ジャーナリズムスクール在学中にケニアの日刊紙で写真家としてのキャリアを開始する。卒業後に西アフリカ、2004年にはバルセロナへ拠点を移し、国と民族のアイデンティティーをテーマに、フリーランスとして欧米や日本の媒体で活躍中。2011年に写真集『JAPAN/日本』を出版 。アカシギャラリー(フォトギャラリー&レストラン)を経営、Akashi Photos共同創設者。
ウェブサイト:http://www.torumorimoto.com/

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドルが急落、156円後半から154円後半まで約2円

ビジネス

為替、基調的物価に無視できない影響なら政策の判断材

ビジネス

訂正野村HD、1―3月期純利益は前年比7.7倍 全

ビジネス

村田製の今期4割の営業増益予想、電池事業で前年に5
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story