コラム

日本が韓国の新型コロナウイルス対策から学べること ──(3)情報公開

2020年04月21日(火)13時40分
日本が韓国の新型コロナウイルス対策から学べること ──(3)情報公開

韓国龍仁市の隔離センターで総選挙の期日前投票をする新型コロナウイルス感染症患者(4月11日) Kim Hong-Ji-REUTERS

<韓国政府の新型コロナ対策は、徹底した情報公開とテクノロジーを駆使した効率性で国民の信頼と信認を獲得、総選挙で与党を圧勝に導いた>

国内で確認された新型コロナウイルスの感染者数が1万人を超えた(「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者を除く)。東京だけでも4月19日時点で3000人を超えるなど感染拡大の勢いが止まらない。マスコミでは感染者がこのまま増加すると、日本は医療崩壊の危機に直面する恐れがあると連日報道しており、国民の不安は高まっている。

マスコミは感染者数の統計を繰り返して報道しているものの、なぜか報道されているのは東京の1日の感染者数のみで、全国の感染者数に関してはほとんどの放送局が報道をしておらず、日本全体の現状を把握することが難しい。さらに、感染者数とともに検査数を報道していないので、感染者数だけを見てもなぜ前日に比べて感染者数が増減したのか分かりにくい。1日の検査数を前日に比べて減らせば、「確認された」感染者数も減ることになるからだ。

こうした限られた情報下では、政府やマスコミが発表する「確認された」感染者数だけを聞いて一喜一憂することしかできない。この「確認された」感染者数の詳細については厚生労働省のホームページから確認できるようになっているが、その情報を確認できるまでには少しばかりの時間を要する。また、厚生労働省のホームページに掲載されている感染者数とマスコミの報道内容には集計時刻の差により多少数値が異なることもあるので、注意が必要である。

日本より先に感染が広がった韓国でも感染者数に関する情報を公開している。韓国では感染症対策のコントロールタワーである疾病管理本部(KCDC)が中心になり、1)「国内の全体状況が一目で分かる画面」、2)「国内や世界の状況が一目で分かる画面」、3)「1日の感染者数の詳細やアンケート調査などが確認できる1日報告書(約15~20頁)、という形で毎日情報を提供している。特に、3)の「1日の感染者数の詳細やアンケート調査が確認できる1日報告書」の場合、地域別、年齢階級別、性別、感染経路別の感染者数に関する情報に加え、新型コロナコロナウイルスに対する国民へのアンケート調査結果、海外の感染情報等の情報も提供している。以上の3つの方法で提供される感染者数関連情報は翌日の午前10時頃には疾病管理本部のホームページから確認できる。下記の図は1)「国内の全体状況が一目で分かる画面」を日本語で約したものである(4月19日00時基準)。

国内の全体状況が一目で分かる画面の例
kim200421_2.png

出所)韓国疾病管理本部のホームページを用いて筆者翻訳

プロフィール

金 明中(ニッセイ基礎研究所)

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。

ニュース速報

ワールド

2020年訪日外国人は411.6万人、前年比87.

ビジネス

電通、本社ビル売却「検討していることは事実」

ワールド

私権制限に慎重な意見も踏まえ、速やかに法案提出=特

ワールド

韓国新外相に鄭・前国家安保室長 北朝鮮との協議再開

MAGAZINE

特集:バイデン vs 中国

2021年1月26日号(1/19発売)

トランプよりむしろ手ごわい相手? 新・米大統領が習近平の強敵になる可能性

人気ランキング

  • 1

    アイルランド母子施設で子供9000人死亡、発覚したきっかけは...

  • 2

    議会突入の「戦犯」は誰なのか? トランプと一族、取り巻きたちの全内幕

  • 3

    米大統領就任式を前に州兵の戦闘用車両「ハンビー」が盗難

  • 4

    米議会襲撃で盗難されたペロシ下院議長のパソコン、…

  • 5

    マジックマッシュルームを静脈注射した男性が多臓器…

  • 6

    コロナ対策でいよいよ「野良猫狩り」にまで乗り出し…

  • 7

    新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」…

  • 8

    米司法省、議会襲撃めぐり地方政府当局者を逮捕 大統…

  • 9

    文在寅、元徴用工訴訟の日本企業資産の現金化「望まし…

  • 10

    「三体」? 3つの恒星を持つ系外惑星が特定される

  • 1

    新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?

  • 2

    マジックマッシュルームを静脈注射した男性が多臓器不全、血液中でキノコが育っていた

  • 3

    アイルランド母子施設で子供9000人死亡、発覚したきっかけは...

  • 4

    ビットコイン暴落、投資家は「全てを失う覚悟を」(…

  • 5

    無邪気だったアメリカ人はトランプの暴挙を予想でき…

  • 6

    「生意気な青二才」「お前が言うな」批判も浴びた金…

  • 7

    七五三にしか見えない日本の成人式を嘆く

  • 8

    トランプのSNSアカウント停止に、アメリカ国内で異論…

  • 9

    「再選を阻止せよ」浜田宏一・安倍政権元内閣参与が…

  • 10

    米大統領就任式を前に州兵の戦闘用車両「ハンビー」…

  • 1

    「小さな幽霊」不法出稼ぎタイ人、韓国で数百人が死亡 

  • 2

    新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?

  • 3

    脳に侵入する「殺人アメーバ」が地球温暖化により北上しているおそれ

  • 4

    マジックマッシュルームを静脈注射した男性が多臓器…

  • 5

    世界で「嫌われる国」中国が好きな国、嫌いな国は?

  • 6

    ビットコイン暴落、投資家は「全てを失う覚悟を」(…

  • 7

    アイルランド母子施設で子供9000人死亡、発覚したき…

  • 8

    北極の成層圏突然昇温により寒波襲来のおそれ......2…

  • 9

    無邪気だったアメリカ人はトランプの暴挙を予想でき…

  • 10

    米政権交代で「慰安婦合意」の再来を恐れる韓国

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

2021年 最新 証券会社ランキング 投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!