コラム

「トランプ関税」の起源は独立戦争? 日本人には理解不能な「行動原理」を、アメリカ史から読み解く

2024年12月04日(水)18時55分

保護貿易を求めた北部、自由貿易を求めた南部

合衆国憲法制定後も関税をめぐる政治的争いは続き、輸入品から自国の工業製品を守るため保護貿易を主張した北部と、綿花の輸出を主産業とし、自由貿易を主張した南部の対立は、最終的に南北戦争という壮絶な内戦を引き起こした。内戦終結後も、関税をかける根源的権利を持つ議会と、大統領令による自由な関税実施をもくろむ大統領府(行政府)との間で今も権力争いが続いている。

アメリカは、ニューディール政策を行ったフランクリン・ルーズベルト大統領以後、連邦政府の権限や予算を大幅に拡大してきた。同時に自由貿易を是とするグローバル経済を推進することで、政治的にも経済的にも世界のリーダーとして君臨するという現代アメリカの基本政策を忠実に実行してきたといえる。


しかし、こうしたアメリカの基本政策が国民にとってメリットをもたらしていないと考える人が増え始めており、これがトランプ政権誕生の原動力となった。トランプ氏にとって、アメリカに製品を輸出する国はアメリカの富を奪っているという認識であり、保護主義的、かつ過激な関税政策もこうした価値観に由来している。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ウォラーFRB理事、2月雇用統計堅調なら金利据え置

ワールド

米国防長官、アンソロピックCEO呼び出しへ AIの

ワールド

トランプ氏が警告、最高裁判断受け「駆け引き」なら高

ワールド

新たなトランプ関税、貿易合意への影響限定的に=英首
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面を突き破って侵入する力の正体が明らかに
  • 4
    ペットとの「別れの時」をどう見極めるべきか...獣医…
  • 5
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 8
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 9
    「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒…
  • 10
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 5
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 8
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story