コラム

モンペ対応、無制限残業...教員の「ブラック労働」の改善は、日本全体の「生産性向上」の試金石に

2024年11月21日(木)12時02分

給与を一律に引き上げる方策は解決策になるか

過去20年、教員の数はあまり変化していない一方で、児童・生徒の数は少子化によって大幅に減少した。つまり教員1人当たりの児童・生徒の数は減少しているので、授業以外の業務が原因で負荷が増大したことはほぼ明らかだ。

劣悪な職場環境という点では介護分野でも似たような問題が指摘されているが、こちらは賃金水準が大幅に低く、低賃金が満足度低下の大きな要因である可能性が高い。


一方、教員は現時点において平均600万円程度の年収があり、それほど低い水準とは言えない。従って教員の場合には、「モンペ」対応など、従来にはなかった業務が増えていることに加え、デジタル化の不備などで雑務を軽減できていないことがブラック化の根本原因と考えてよい。

こうした現状に対して文部科学省は、教師の年収を一律に引き上げる方策を検討中だが、学校が抱えるこれらの諸問題を考えると、全員の年収を一律に引き上げるやり方は効果を発揮しない可能性が高い。

一口に教師といっても、あらゆる業務を抱えながらも、私生活を犠牲にして業務に邁進している人もいれば、十分なパフォーマンスを上げていない教員もいる。また学校全体のマネジメント方針の違いによって、ブラック化している職場とそうでない職場の違いも大きいだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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