- HOME
- コラム
- Edge of Europe
- イギリス人から見たトランプ特別治療の「上級国民度」
イギリス人から見たトランプ特別治療の「上級国民度」
本当の問題は、ある国のリーダーが他の国のリーダーに比べてどう治療されるのか、ということではない。自国の国民に比べて、リーダーがどんな治療を受けるのか、という点だ。僕たちは心のどこかで、ある程度の優先権を持つ人がいることを認めてしまっていると思う。僕が以前に調子が悪かったとき70分待合室で待たされたのと同じように、ボリス・ジョンソンが一般開業医の診察待ちで長い行列に並び、その間に政府の業務が滞るようなことがあるとしたら、ばかげているだろう。でも、その格差が甚大になり、リーダーが一般国民とはかけ離れた世界に住むようになれば、僕たちは抵抗する。
何百万ものアメリカ人が無保険か、最低限の医療にすらアクセスが限られているような状況だけに、トランプの治療は軋轢を生む。実際、マイケル・ムーアが『シッコ』で暴いたように、医療保険に入っているアメリカ人でも多くの人々が、深刻で命の危険がある症状でも必要な医療を受けられないことがあるのだ。
アメリカのそれは不完全で腹立たしい医療システムであり、イギリスとアメリカ両国で暮らした僕が体験した、「生活の質」をめぐる最大の違いだ。イギリスでは、失業者であろうと億万長者であろうと、全ての国民はNHSにアクセスする。僕たちの医療保険制度は完ぺきではないが、イギリス国民全員が頼りにできるものなのだ。
2024年11月5日/12日号(10月29日発売)は「米大統領選と日本経済」特集。トランプvsハリスの結果で日本の金利・為替・景気はここまで変わる[PLUS]日本政治と迷走の経済政策
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
シニカルなイギリス風ユーモアでスターマー英首相を斬ると... 2024.11.09
予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄道計画が迷走中 2024.10.31
今までもらった最高のアドバイスって何? 2024.10.12
イギリスのスターマー新首相が早くも支持急落...その3つの理由 2024.10.08
日本人の知らないレンガ建築の底知れない魅力 2024.09.21
愛らしく哀れみ誘う......そんなロバの印象を一変させた恐怖体験 2024.09.03
世界最高レベルの住宅街を舞う大量のインコ 2024.08.31