コラム

ジョージア人も日本人も「整えること」が好き...ただし、そのアプローチの違いとは?

2024年09月05日(木)14時10分
ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
座禅

beeboys-shutterstock

<最近よく耳にする「整う」。日本では子供の頃から規則正しく整えることを学んでいくが、ジョージア人も「整える」ことには熱心。その違いとジョージア大使の「整え方」について>

歴史・伝統・文化を重んじ、人と人とのつながりを大切にする国民性。そして何よりもおもてなしを大事にしているという点で、ジョージアと日本は共通点が多い。

私はそう常々思っており、あらゆる機会を通じて両国の共通点について話しているが、とことん違う点もある。その中の1つが最近よく耳にする「整える」、つまり 身辺や心身の「整え方」である。


まずは、日本の「整え方」に着目したい。日本では幼い頃から生活の至る所で整えることを学んでいく。例えば、人間にとって最も大切な営みの1つである「食」においても、規則正しくきちんと食べることを幼少時から身に付けている。

私は妻との間に3人の女の子に恵まれ、現在、日本の公立保育園に通わせている。その娘たちの保育園生活での「整え方」に夫婦ともども驚いているが、妻が特に驚いているのは給食だ。娘たちが日々、何をどれだけ食べていたかが給食アプリによって確認できるようになっているのだ。

そのアプリには毎日異なる食事メニューが写真と共に掲載されている。スープや野菜がいつも入っているなど、栄養バランスもとても考慮されている。それを毎日必ず同じ時間に子供たちが規則正しく食べているのだ。まさに食生活が「整っている」状態である。

それは小学校入学以降にも続いていく。筆箱、給食袋、教科書や副読本やノート、裁縫道具などさまざまなセットを毎日携えて、地域や学校によってはきちんと整列して集団で登下校する。

また、給食も多くの場合は当番制で自分たちで配膳し、掃除も分担して行う。夏・冬休みも部活や課外活動、自由研究などがある。とにかく、日本では子供の頃から規則正しく生活し、忙しい。しかし、やはりここでも「整っている」のだ。

他方、ジョージア人も「整える」ことに関しては意外に熱心だ。ただし、アプローチが日本人とは全く異なっている。

まず、ジョージア人はびっくりするほど生活が不規則だ。朝8時に散歩していても、外にはほとんど誰もいない。食事時間も、いつも自由気ままでバラバラなため、15時や16時に昼食に誘われることも普通にある。

長年日本で暮らし、決まった時間に規則正しく昼食を取ることを心がけてきた私にとっては、非常に困っている点でもある。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、和平協議「幾分楽観視」 容易な決断

ワールド

プーチン大統領、経済の一部セクター減産に不満 均衡

ワールド

プーチン氏、米特使と和平案巡り会談 欧州に「戦う準

ビジネス

次期FRB議長の人選、来年初めに発表=トランプ氏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 3
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドローン「グレイシャーク」とは
  • 4
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 5
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 6
    もう無茶苦茶...トランプ政権下で行われた「シャーロ…
  • 7
    【香港高層ビル火災】脱出は至難の技、避難経路を階…
  • 8
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story