G7開催地の広島。素晴らしい街だが、知られていない一面もある
そうした過去を思い起こすと、広島は歴史に刻まれてきた街と言えるのかもしれない。であれば、今回の広島サミットは歴史の中にどう位置付けられるだろう。
広島を地盤とする岸田文雄首相は自民党の宏池会会長だが、宏池会と言えば伝統的に対中融和、リベラルを信条とする派閥だ。おまけに広島は「中国」地方の中心。地名のせいもあり、中国人としてはなんとなく親近感を抱いていた。
そんなわけで政権発足時は内心、「岸田政権で日中関係が改善に向かうのでは」と期待したが、ふたを開けてみれば全くの見込み違い。岸田政権はアメリカに追従し、対中国の急先鋒となっているようにしか見えない。中国覇権主義に対抗するという大義名分を掲げ、アジア版NATOの創設までが議論されている。
もちろん、日本にもいろいろな事情があるだろう。しかし日本の国益を考えると、アメリカに追随していて大丈夫かと、いささか心配にもなる。ドイツやフランスのようなしたたかなアプローチ方法もある。
せっかく平和を象徴する街、広島でサミットが行われたのだ。分断が進む世界が再び融和に向かうよう、日本政府には柔軟で積極的な取り組みをしてもらいたい。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「周来友の人生相談バカ一代」)としても活動。
アマゾンに飛びます
2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた 2025.12.13
日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い 2025.12.07
死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の意味を考えていない 2025.12.06
高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい 2025.12.03
文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗り越えられる 2025.11.13
外国人投資家の不動産爆買いに迷惑しているのは日本人だけではない 2025.10.23
報じられなかった中国人の「美談」 2025.10.22






