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「14億人市場」は嘘? 中国人口「本当は10億人」説の衝撃とその理由【注目ニュースを動画で解説】

2023年4月12日(水)18時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

ニューズウィーク日本版-YouTube

<中国の人口は水増しされていた? ハッキング事件で流出したデータから何が分かったのか? 中国の人口統計をめぐる特殊事情について解説した動画から、一部を抜粋して紹介する>

「労働人口が増え続ければ経済は栄える」「14億人市場」──そんな売り文句で海外からの投資を呼んできた中国。人口が減少に転じるのは「2030年以降」とされてきたが、この1月、実は昨年から人口減少が始まっていたことを認めた。

驚くべき事態だが、より深刻なのは背景にある中国ならではの特殊事情だ。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「「14億人市場」は嘘? 中国人口「本当は10億人」説の衝撃!【アニメで解説】」の内容を一部抜粋して紹介する。

◇ ◇ ◇

「2030年以降」に人口が減り始めるという想定は中国政府の発表してきた過去の公式統計に基づくもの。しかるべき統計データさえあれば、先の予想は十分に可能なはずなのに、なぜ8年も計算が違ったのか。

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人口統計に関しては明らかに意図的な改ざんがあったとされている。

1980年頃に始まる「一人っ子政策」の実行部隊として国民から嫌われた組織「国家衛生計画生育委員会(計生委)」の内部では腐敗が蔓延し、共産党幹部が違法出産を見逃す代わりに私腹を肥やしていた。

一人っ子政策の下でも人口が増え続けたのは、この組織の指導下で行われたデータ改ざんが原因だった。

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江沢民、次いで胡錦濤は、中国経済の成長を支えるには外国資本の誘致が不可欠と考えていた。そこで中国には安価な労働力がたっぷりあって、それは何十年先まで続くという「神話」を作り上げた。

依然として一枚岩でトップダウン型の政治が改ざん体質を助長している。

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中国は昨年6月、ハッカー集団の攻撃による史上最悪のデータ流出事件に見舞われた。

盗まれた個人を特定できる10億人分のデータセットはダークウェブで販売され、研究者らが購入して分析。すると、その数値は中国の実際の人口動態プロファイルと酷似していたという。

通常、統計処理に当たって総人口の70%(総数14億に対して10億)のサンプルを使うことはあり得ない。このことから、流出したデータセットに全国民の個人識別情報が含まれていた可能性が高いと言える。

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この偽データの影響は他国にも及んでいる。外国の自動車メーカーや携帯電話の製造会社は、人口増という将来性を見込んで中国に投資してきた。

中国が悪いのはもちろんだが、長期プランを策定する際に改ざん・捏造といった中国の流儀の下で出された公式統計に頼ってきた企業側も軽率だった。

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習近平は人口危機に取り組むことを約束した。これが一人っ子政策の反対、強制妊娠という方向へエスカレートしなければいいが。

■詳しくは動画をご覧ください。

※この動画は「水増しされていた中国の人口、「本当は10億人だった説」の衝撃──ハッキングでデータ流出」に基づいています。

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ロシア

「ロシアは中国の植民地になる勢いだ」──CIA長官

Putin Risks Turning Russia Into China's 'Economic Colony': CIA Director

2023年4月13日(木)21時30分
ジョン・フェン

プーチンは、習近平の真意を読みきれないまま深入りしているとバーンズは言う(3月21日、クレムリン) Sputnik/Alexei Maishev/Kremlin/REUTERS

<プーチンは「壮大なオウンゴール」を認めようとせず、どんどん中国依存を強めていると分析>

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中台関係

台湾で「くまのシーさん」ワッペンが大ヒット、きっかけは軍の戦闘機乗り

Taiwan Pilot Wears Patch Punching Winnie-the-Pooh During China Drills

2023年4月13日(木)19時15分
ジョン・フェン

台湾のクマが「シーさん」にパンチを喰らわすワッペン(4月10日、桃園市) Carlos Garcia Rawlins-REUTERS

<「シーさん」とは、以前からプーさんにそっくりと風刺されてきた習近平。それにパンチを喰らわす絵柄と台湾軍兵士の心意気が台湾人の愛国心に火を付けた>

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米中対立

中国軍の台湾「封鎖」演習を監視していた米海軍第11空母打撃群

U.S. Navy strike group keeps close eye on China's carrier near Taiwan

2023年4月11日(火)19時25分
ジョン・フェン

中国軍の演習に睨みを利かせた米空母ニミッツ(写真は2008年2月28日、韓国の釜山) Jo Yong-Hak-REUTERS

<南シナ海で航行の自由作戦を実施してアメリカと台湾の接近に神経を尖らせる中国軍をけん制>

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習近平

権力集中に走る習近平の野心と不安

Xi’s Latest Power Grab

2023年4月11日(火)13時20分
練乙錚(リアン・イーゼン、香港出身の経済学者、コラムニスト)
習近平

習近平の子飼いともささやかれる李強首相(左)なら裏切られる心配はない? 新華社/AFLO

<政府機構改革でさらに権力を掌握した習、歴史はいずれクーデターが起きることを示唆するが>

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欧州

「台湾巡るマクロンの発言、中国に忖度し過ぎ」欧米各国の議員批判

2023年4月11日(火)11時07分
習近平国家主席(左)と会談したマクロン仏大統領(右)

マクロン仏大統領は仏紙とのインタビューで、欧州は台湾を巡る対立を激化させることに関心がなく、米中両政府から独立した「第3の極」になるべきだと述べた。写真は6日、北京で習近平国家主席(左)と会談したマクロン氏(2023年 ロイター/Gonzalo Fuentes)

マクロン仏大統領は仏紙とのインタビューで、欧州は台湾を巡る対立を激化させることに関心がなく、米中両政府から独立した「第3の極」になるべきだと述べた。これを受けて、中国に配慮し過ぎた発言だとして欧米各国の議員から批判が出た。

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