最新記事
G7

大きな成果がないと見られていたG7だが、「新・対中戦略」は本格化する

2023年5月22日(月)12時35分
リシ・アイエンガー
G7

ワーキングディナーの席で顔をそろえた各国首脳(5月19日) MINISTRY OF FOREIGN AFFAIRS OF JAPANーHANDOUTーREUTERS

<アメリカ国内の足並みの乱れからG7は当初は期待されていなかった。しかし、G7諸国が相互の技術協力と中国との競争を重視するようになったことは既に大きな変化>

フェントメトリクス社のCEOアロン・ラファエルにとって、2018年に雇った3人の中国人は優れた勤労倫理を持つ「モデル従業員」だった。

ロサンゼルスに拠点を置く同社は、先端半導体チップの欠陥を製造工程で特定する技術を持つテクノロジー企業。ラファエルは3人に滞在ビザを取得させ、そのうちの1人は会社に投資までした。

だが2年前、彼らはその技術を盗み出し、中国に持ち帰ってライバル会社を設立。現在は同社の顧客や投資家に売り込んでいるという。

この一件は最近のアメリカの対中外交の背後にある恐怖を象徴する出来事だ。米当局は中国の先端技術へのアクセスを阻止することに注力するようになった。

最近ではアメリカの対中投資を規制する仕組みの導入を目指し、広島で開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)の直後に、計画の概要を示す大統領令が発効する見込みだ。

ラーム・エマニュエル駐日米大使は先週、「中国による経済的威嚇と報復を抑止・防御するためのツールを、G7加盟国は開発している」とツイートした。


だが、こうした措置の構築に何カ月もかかっていることは、バイデン政権の対中「デカップリング(切り離し)」政策の困難さを示すものだ。

昨年10月には半導体輸出規制強化に踏み切り、TikTok(ティックトック)など中国産アプリの禁止をちらつかせたが、最近はもっと穏健なアプローチに変化している。

イエレン財務長官とサリバン国家安全保障担当大統領補佐官は4月の講演で、いずれもアメリカの動きは国家安全保障に影響を与える技術に焦点を絞ったものだと強調。

「デカップリング」ではなく「デリスク(リスク除去)」を望んでいると述べた。

事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米金利、世界最低であるべき=トランプ大統領

ビジネス

再送-インタビュー:米は日本の財政赤字・金利上昇波

ビジネス

ユーロ圏銀行融資、12月は企業業向け減速 家計向け

ビジネス

英アストラゼネカ、中国に150億ドル投資 スターマ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 7
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中