コラム

意外な共通点「非モテ」で結び付く日韓男子のこれから

2020年12月23日(水)18時30分
李 娜兀(リ・ナオル)

日韓とも寂しい男子が増えている TORU HANAI-REUTERS

<若者の結婚や恋愛事情に共通点の多い両国。日本特有の現象とされていた「草食男子」の比率は今や韓国の方が多く、「非モテ」のコミュニティまである>

12月に入り、わが家のリビングの飾り付けもハロウィーンからクリスマス仕様に変わった。小学生の次女はクリスマスツリーに大喜びだが、高校生の長女はそれほど関心がなさそうだ。家族で過ごすことが一般的なアメリカなどと比べ、日本や韓国ではなぜか共通して、クリスマスは恋人と2人で迎える日というイメージが強い。長女の関心も次第にそちらに向かいつつあるのだろう。

日本と韓国は違う点も多いが、社会現象や恋愛模様などで共通するところも少なくない。日本で話題になった社会現象が少し遅れて韓国でも起きる、あるいは日本でつくられた流行語で、韓国で起きた新しい現象を説明する、ということはよくある。

例えば異性などとの関係に消極的な「草食男子」という言葉が日本で流行したのは十数年前だ。当時の韓国の新聞は「日本特有の現象」という文脈で伝えていたように記憶している。

一方、昨年1月の韓国日報の見出しは「韓国は日本よりも草食男子が多くなった」だった。記事は30~34歳の韓国男性の未婚率が1995年の19.4%から2015年には55.8%に増え、同時期に37.5%から47.3%に増加した日本の同年齢男性の数値を上回ったと伝えている。

記事によれば「経済的な安定性も異性との交際(の有無)に大きな影響を与えている」そうだが、若い世代の賃金が上がっていないことと未婚率との関係は日本でもよく話題になっている。個人主義が広がり、男女共に「結婚しなければならない」という家族、親族などからの圧力が弱まったことなども含め、日本も韓国も、若者の結婚や恋愛事情については、いろいろな面で似た状況にあると言える。

そんなことを考えていた時に、日本のニュースで今秋、出版された『モテないけど生きてます 苦悩する男たちの当事者研究』(青弓社)という本のことを知って、「あっ」と思った。この本は「ぼくらの非モテ研究会」という男性の生きづらさを語り合う場としての当事者研究グループが出したものだが、実は韓国にも「人気のない男たちの集まり(韓国語の略で「インナムモ」)」というグループがあり、時折ニュースになっていたからだ。

本を購入して読んでみると、ぼくらの非モテ研究会は、「研究会」との名前のとおり、参加者たちが深く自分たちの内面を探求する集まりのようだ。社会からの疎外感を抱えた男性が、「女神」と思える女性に出会い、一方的な恋愛感情からストーカーなどの加害に至るケースについても踏み込んでいた。一般論として語ることは簡単でも、自分たちのこととして向き合うのは勇気のいることだと思う。

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