コラム

在日外国人の私が新宿二丁目のマイノリティーに共感する理由

2020年01月21日(火)19時20分
周 来友(しゅう・らいゆう)

マイノリティーをめぐる問題と言えば、もう1つ気になっていることがある。在日外国人のある権利に関わる問題だ。日本に3カ月以上滞在する外国人は国民健康保険に加入する義務があり、それにより日本の優れた医療制度を格安で利用できる権利を得る。

ところが、その保険証を不法滞在者や訪日旅行者などが不正利用して医療機関で受診するケースが増えているのだ。もちろん悪用する側が悪いのだが、私に言わせれば、成り済まし受診をしやすい制度そのものにも問題がある。何と言っても、保険証には写真すら付いていないのだ。

昨年、法改正がなされ、2020年4月以降は原則、保険加入者の扶養家族は日本に居住しなければ給付を受けられないこととなったが、当然の措置だと思う。LGBTにしても外国人にしても、認められてしかるべき権利はたくさんあるし、日本はまだまだ遅れている(私の祖国に比べればずっとましだけれどね)。

ただ、これまで多く議論されてきた同性婚や外国人参政権以外にも、これだけ微妙な「問題」が存在するのだ。当事者たちの声を聞き、その実態をつかんだ上で、具体的な対策を講じてもらいたい。

そうでないと、いつの日か「多様性を認め、マイノリティーに優しい日本」が実現したとき、その陰で二丁目から活気が失われ、外国人は制度を悪用している、なんてことになりかねない。そうなったら面白くない。マイノリティーとして生きてきた私は、そんな未来に断固として反対する。

Zhou_Profile.jpg周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「ゆあチャンネル」)としても活動。

<本誌2020年1月21日号掲載>

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2020年1月28日号(1月21日発売)は「CIAが読み解くイラン危機」特集。危機の根源は米ソの冷戦構造と米主導のクーデター。衝突を運命づけられた両国と中東の未来は? 元CIA工作員が歴史と戦略から読み解きます。

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